まる猫の今夜も眠れない

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【真夏の恐怖体験】木造校舎の怪 (後編)

※ この内容は以下の記事の続きです。

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肝だめし始まる

アカリちゃんの登場で、殺伐としていた雰囲気から一転し、現場はラブコメムードになっていた。

肝だめしはペアで行うことになっていたので、誰がアカリちゃんと組むのかということで男たちの水面下の戦いが始まった。

いらすとや (www.irasutoya.com)

しかしその場所にあの男が現れた。

ボンちゃんだ。

お前は以前に捜索対象になった過去を忘れたのか。

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ボンちゃんは無理やり連れてきた軍団員に「こんなもん、怖いはずあるかよ」と言っていた。

相変わらず好きじゃない。

かくして肝だめしは始まった。

僕の友達やボンちゃん軍団員も暗い校舎の中へと入って行った。

闇夜に絶叫がこだまする。

そして僕の肝だめしの番が迫ってきた。

残る生徒は僕を含めて4人。

僕とボンちゃんとアカリちゃんと彼女の友達だ。

何という奇跡だろう。

アカリちゃんが残っている。

僕はもちろんアカリちゃんとペアになろうと思った。

しかしここである考えがよぎる。

もしも僕がアカリちゃんとペアを組んで、肝だめし中に失態を晒してしまったら、アカリちゃんと僕は一生結ばれることはないだろう。

僕は気丈に振る舞っていたが、内心恐怖で震えていたのだ。

この状況下で、膀胱が僕の命令を聞いてくれる可能性は限りなく低い。

そうか、アカリちゃんがここまでペアになっていないのは、忖度ということではなく、ほかの奴らも失態を晒すのを恐れてのことか。

一瞬でも友情に感謝した自分を恥じた。

そして僕は肝だめしのペアにボンちゃんを選んだのだ。

何も知らないアカリちゃんは友達とペアになれて喜んでいた。

 

本当の恐怖が始まる

いらすとや (www.irasutoya.com)

僕とボンちゃんは懐中電灯を持って、木造校舎の中に進んでいった。

さすがに利用していた校舎だけあって迷うことはない。

しかしそれでも辺りは真っ暗だ。

上の階に進むごとに僕たちの恐怖心は高まっていく。

なぜだか僕の手を離さないボンちゃん。

逆だったかもしれねぇ。

僕の手を握っているのがアカリちゃんだったらどんなに良かっただろう。

なぜこの男は僕の手を離さないんだ。

僕はボンちゃんの手を振りほどいて、歩みを進める。

そして僕とボンちゃんは3階まであがり、奥の教室まで進もうとしたそのときだ。

バキッ...

大きな音がした。

何だ?

僕は振り返る。

ボ...ボンちゃんが...消えた!!!

ボンちゃんは今まで僕の後ろにいたのだ。

あの噂は本当だったのだ。

うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!

僕は我を失って叫んだ。

僕もさらわれてしまうという恐怖があった。

すると悲しそうな声がする。

「お〜い、ここだよ〜。」

うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!

その声に僕はさらに怯えて叫びだす。

「いや、ここなんだよ〜。」

冷静にみると、ボンちゃんがいた。

ボンちゃんの重みで木造校舎の床が抜け、膝辺りまでが校舎に埋まっていた。

視界から外れたボンちゃんを僕は消えたと思ったのだ。

何なんだ、コイツは。

僕はボンちゃんに心の底から苛立ちを感じたが、見捨てるわけにもいかず、大人を呼びに行った。

そしてボンちゃんは校舎から引っ張り上げられ、救出された。

そう、この話で最も怖い部分は、ボンちゃんが自分の軍団員の誰にもペアに選んでもらえなかったことである。