まる猫の今夜も眠れない

眠れない夜のお供に

【真夏の恐怖体験】木造校舎の怪 (前編)

木造校舎

いつまで経っても忘れることのできない恐怖体験をした。

小学生の頃の話だ。

僕は子供の頃はかなりの田舎に住んでいた。

そこまで大昔の話でもないのだが、校舎は木造校舎であった。

その校舎は築何十年なのか知らなかったが、とにかく味があり、僕たちは気に入っていた。

木の温もりがとても心地よかったのだ。

しかし建物の強度がさすがに心配だったこともあり、僕たちが在学中に新校舎が建てられることとなった。

新校舎が建っても、しばらく木造校舎は校庭の隅に残っていた。

みんな、その木造校舎が大好きだったのだ。

いらすとや (www.irasutoya.com)

物騒な噂

当時、僕たちの町では物騒な噂が広まっていた。

小学生が夜道を歩いていて行方不明になったというのだ。

突然その子は消えてしまったらしい。

今考えてみれば、実際にそんなことが起きていたら、新聞に載ったりニュースになっていたはずだ。

ところがそういうことは一切なかったので、単純にガセネタだったのだろう。

しかし当時の小学生の間ではその噂でもちきりだった。

怖いと思いながらも、ついついその話になってしまった。

 

肝だめし

どういう経緯だか忘れてしまったが、夏休みに肝だめしが企画された。

木造校舎の中を進み、奥の教室まで行って、何かを取ってくるというものだった。

今の常識からすると、いろいろアウトな企画だと思うが、当時はおおらかな時代だった。

不便なことも多かったし、理不尽なこともあったけれど、今より生きやすい時代だったと思う。

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兎にも角にも、肝だめしが企画されたわけだが、僕たちは友達の前では余裕をかましていた。

こんなもの怖いはずがないだろう、というスタンスを取っていたのだ。

実際は物騒な噂もあり、内心怖くて仕方がなかった。

けれども肝だめしに参加しないとなると、メンツが保てない。

子供にとってすれば、臆病だというレッテルを貼られるほど屈辱的なことはなかった。

余計なことを企画しやがって。

僕たち全員がそう思った。

 

肝だめし当日の夜

ついに肝だめし当日になった。

何だかんだでクラスの多くが会場に集まった。

家族旅行などの理由で来られない友達たちは「いや、本当は参加したかったんだよ」と言っていた。

しかしその安堵の表情を見て、僕たちは憎しみを感じざる得なかった。

そんな雰囲気を吹き飛ばす事件が起きた。

クラスのアイドルであるアカリちゃん (仮名) もその場所にいたのだ。

現場がホラーからラブコメの装いを帯びてくる。

僕たちはこの企画を立ててくれた誰か解らない人に感謝をし始めた。

しかしこのあと自分の身に起こる出来事のことを僕は知る由もなかった。

ある人物が登場することで、物語は急展開を迎える。

後編に続く