※ はじめに全国の宇野さんに謝罪をしておきます。
その謝罪を受け入れていただいた上で本題に入りたいと思います。
宇野
本山は小学校のときのクラスメートだ。
同じ町内に住んでいたが、決して仲が良いわけではなかった。
そして本山は宇野だった。
ミステリーを書こうとしているわけではない。
そうならば導入部分が下手すぎる。
とある有名人であった宇野さんと本山の下の名前が同じであったことから、本山が宇野と呼ばれるようになったのだ。
つまり本山のあだ名が宇野なのであった。
くだらないが、小学生のあだ名なんてそんな程度のものだ。
今だったら問題になっているのかもしれない。
そんな僕たちは町内会が催したキャンプに参加することになった。
キャンプ
子供にとってキャンプはテンションが上がるイベントの上位に入る。
僕たちも例に漏れず超ハイテンションで色々なレクリエーションに参加をしていた。
今思えば本当に鬱陶しかっただろう。
しかし無理もない。
落ちている枝を集めてキャンプファイヤーの準備をしたり、飯盒炊飯の容易をしたりと、初めてのことだらけでテンションはうなぎ登る以外の選択肢を持たなかった。
そしてカレーに入れる野菜を切っているとき、ほんの小さな事件が起こった。
友達のマオが本山に「宇野〜、この野菜ってどういう形に切ればいいの?」と聞いたのだ。
直後、本山が怒号を発した。
「宇野って言うんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」
バサバサバサと音を立て、気に止まっていた鳥たちが声に反応して飛び立った。
町内会の大人たちは何事かと心配そうにこちらを見ていた。
本山は宇野と呼ばれることを相当腹に据えかねていたらしい。
自分とは全く関係のない人の名前で呼ばれる訳だから、イライラするのも解らなくはない。
ただマオはおっとりしたタイプで、みんなが本山を宇野と呼んでいるからそれに準じただけだった。
寧ろマオは誰とでも仲良くしたいという人間だったということは付け加えておく。
いずれにせよ、本山の怒号の力により、キャンプは一瞬でとんでもない雰囲気になった。
時間が止まったような感じだ。
しばし呆然としていたが、マオは本山を傷つけていたことを知って謝り、本山も謝罪を受け入れた。
ヤバいと思われた雰囲気であったが、外で食べるカレーの美味しさに助けられて、僕たちのテンションはまた急上昇をし始めた。
キャンプファイヤーもとても素敵だった。
誰かのギターに合わせて、僕たちは力いっぱい歌を歌った。
夜の山に楽しそうな歌声がこだました。
しかしこのあと、決して人類史に残ることはないくだらなさすぎる戦いが勃発することを僕たちの誰もが予想してはいなかった。
もう寧ろ読まなくてもいいくらいくだらないのだ。
後編に続く
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