漫画夜話について
漫画夜話では国民的な漫画になっていてもおかしくないほど面白く、もっと高く評価されるべき作品を紹介させていただこうと思っている。
既に高い認知度がある漫画に関しても、充分な評価がなされていないと感じる場合は共有させていただきたい。
イリヤッド 入矢堂見聞録
「イリヤッド 入矢堂見聞録」は魚戸おさむ先生 (画)と東周斎雅楽先生 (原作) の作品である。
魚戸おさむ先生は家栽の人 (原作:毛利甚八先生、監修:山崎司平先生)で知られる漫画家だ。
原作の東周斎雅楽先生は別名義で20世紀少年 (浦沢直樹先生)のプロット共同制作、BILLY BAT (浦沢直樹先生)のプロットストーリー共同制作を行っている。
「イリヤッド 入矢堂見聞録」の優れている点
「イリヤッド 入矢堂見聞録」は元考古学者であり現在は古道具屋の主人とウィーンの女子大生がアトランティス大陸を探して世界を旅する歴史ミステリー大作である。
アトランティスと聞いただけでワクワクする心を持つ人ならばドハマリすること間違いない。
また物語の中で紹介される説話は日本の民俗学だけにとどまらず世界の神話などにも触れており、(タッチはまるで違うが)宗像教授シリーズが好きな人、世界史が好きな人、民俗学が好きな人にはおすすめである。
さらにこの作品の中で描かれる登場人物の人間ドラマが素晴らしく、アトランティス探索を阻止しようとする集団との対立というサスペンスも目が離せない。
物語が動き出した3巻くらいからは続きが気になってしかたがなかった。
最後まで熱量が変わらず、読了感も素晴らしいものだった。
何よりも暫定的ではあるが、アトランティスの謎についてきちんと答えを出している点が素晴らしい。
何回読んでも面白い大人の漫画である。
今のところ国民的な漫画になっていない理由の考察
歴史学の専門家からすると納得できない箇所があるかもしれないが、漫画と割り切れば問題ではないと思われる。
繰り返しになるが、この漫画は本当に奥深く、何回読んでも面白い。
それなのに今のところ国民的な漫画になっていないのは、物語が動き出すまでの導入部分がやや長いという理由が考えられると思う。
またストーリーが面白くて、続きをどんどん読んでしまうということも問題だ。
それの何が問題なのか解りにくいと思うが、しっかりとストーリーを読み解いていかないと、展開が重厚すぎて内容が理解できなくなってしまうことがあるかもしれないのだ。
読解力がある人ならば困らないと思うが、僕は理解力がある方ではないので、最初に読んだときには全てを理解することが出来なかった。
ただ2回目に読み終わったときに、そのテーマの深さに衝撃を覚えた。
アトランティスの謎だけでなく、人間の謎にも丁寧に触れているのだ。
いずれにせよ、この作品にはきちんと向き合い、じっくり読むという姿勢が必要とされる。
まとめ
「イリヤッド 入矢堂見聞録」は歴史ミステリー好きにはたまらない作品だ。
世界史が好きな人、民俗学が好きな人はハマること請け合いだ。
ゆっくりと作品の素晴らしさに触れられる大人な人ならば、この作品の深遠さを理解できると思う。
※ この記事で述べられている内容はあくまでも個人の感想です。
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