空白の2日間 (2日目)
前回の記事では1日目の状況を書かせていただいた。
とにかく頭痛、発熱、消化不良が酷く、僕は許される限りベッドで横たわっていた。
リングの上で真っ白な灰になったケンタウロスのように横たわっていた。
ただ昨年かかった新型コロナウイルスと較べると格段に苦しみが少なかったので、おそらく自分はコロナにはかかっていないとは思っていた。
1日目の夜に奥様が頭痛薬を出してくれたおかげか、2日目の朝には熱が37°になることはなくなった。
薬は偉大だ。
体調が悪くなると何故か薬の存在を忘れてしまうが、もっと早く服用しておけばよかった。
胃の中はすっからかんで力が全くでないが、熱が下がればこっちのものだ。
いまだに何も消化ができないほど胃が弱ってはいたが、気持ちがしっかりしたためか「単なる食あたりだったのかな?」と思い、職場に向かった。
しかしいっこうに食欲は戻らず、再び物凄い勢いで飴を消費していく時間が続く。
職場の仲間は地方妖怪飴なめが再びやってきたと噂話をしていたことだろう。
まったく噂好きな連中だぜ。
その日は無難に仕事をこなすことができたが、動きに切れがなかった。
40時間以上飴しか食べていないのだから完全にエネルギー切れだった。
それなのに全く食欲がわかない。
ヘロヘロになった僕を見て、職場の同僚が「何だか知らないがほかの人にうつるかもしれないから帰れ」、「無理して今後に差し支えたらまずいから帰れ」、「前から早く帰ってほしいと思っていた」などと優しいことばをかけてくれたので、2日連続で定時よりも前に帰ることになった。
まったくどれだけお人好しなんだよ。
そして僕は満を持してかかりつけのクリニックへと赴いた。
インフルエンザないしはコロナに罹患していないかを確かめるためである。
待つこと1時間、待合室の外に先生がやってきて僕の鼻に検査棒を突っ込む。
「陰性だね、ただの風邪だわ。」
先生はそう言って、処方箋を書いてくれた。
僕は「あれだけ苦しんだのにただの風邪?」とは思ったが、それよりも安堵のほうが大きかった。
ここで今週のファイナル・クエスチョンです。
僕がこのとき思ったことは何でしょうか?
答えは簡単である。
僕が思ったのは「2日間何も食べていないわけだから4000キロカロリーくらいはとっても決して太らないだろう」ということである。
食い意地と意地汚さの螺旋構造が火を吹いた。
2日間で飴とお茶しか飲んでいないし、今もお腹の調子が本当に悪い。
しかもそれまでは小魚と煎り大豆だけを食べていた人間だ。
ナウ・オア・ネヴァー。
自然と英語がこぼれる。
我ながら完璧な使用例だ。
そして僕はお弁当屋さんでチキン南蛮とチャーハン、そして愛するとりめしを購入して食べに食べた。
結果はどうなったか?
想像に容易だろう。
皆さんの予想通り僕は翌朝までにお腹を壊し、3日目の朝の次点で体調は2日目の朝の状態に逆戻りした。
ちなみに3日目も夜に大盛り焼きそばを2人前食べたため、4日目も2日目の朝の体調でスタートしたことは言うまでもない。
我ながらクレイジーな胃袋だぜ。