漫画夜話について
漫画夜話では国民的な漫画になっていてもおかしくないほど面白く、もっと高く評価されるべき作品を紹介させていただこうと思っている。
既に高い認知度がある漫画に関しても、充分な評価がなされていないと感じる場合は共有させていただきたい。
Q.E.D. 証明終了
「Q.E.D. 証明終了」は加藤元浩先生が書かれている推理漫画である。
アメリカの大学を卒業したあとで日本の高校に編入し直した天才少年と助手役として体力・人間力に優れた女子高生がさまざまな事件を解決するという物語だ。
実はかなり有名な作品であり、根強いファンがいる漫画だ。
「Q.E.D. 証明終了」は2シーズン目に突入しており、前作の「Q.E.D. 証明終了」は1997年から連載が始まり、コミックス50巻で完結した。
続編が「Q.E.D. iff ー証明終了ー」であり、2023年の夏までに25巻まで発売されている。
続編と言っても前作と大きくかわった点はない。
前作と続編合わせると、今までに70冊以上出ているということになる。
「そんなに出ているのか」と思うかもしれないが、正直今まで1度も読んだことがないという人が羨ましい。
これから70冊以上も至福の時間があるのだから。
「Q.E.D. 証明終了」の優れている点
ここでは前作と続編をまとめて「Q.E.D. 証明終了」と呼ばせていただきたい。
「Q.E.D. 証明終了」の素晴らしい部分は推理漫画なのに何度でも読める点である。
ふつう推理漫画というと犯人が解ったら2度読むことが躊躇われる。
ところが「Q.E.D. 証明終了」はAI、宇宙科学、数学、物理学などを素人にも解りやすく説明してくれており、かつその題材が面白いのだ。
例えば鏡は左右を逆に映しているものだと僕は思っていたが、実際はそうではないことをこの漫画から知った。
だから犯人が解ってしまっても、経緯が楽しくて何度でも読めてしまう。
テレビドラマの「ガリレオ」が好きな人はハマる可能性大だ。
推理漫画あるあるの「これはさすがに無理があるだろ〜」というものが少ない。
さらに「Q.E.D. 証明終了」は後味がよい。
推理漫画だと犯人の生い立ちや犯行に至った経緯を知って同情し、ときとして後味が悪くなることがある。
しかし「Q.E.D. 証明終了」はそれが極めて少ない。
そもそも殺人事件が起きない回が多い。
それで推理漫画が成立するのかと思われるかもしれないが、立派に成立している。
国民的な漫画になっていない理由の考察
推理漫画というジャンルでは「名探偵コナン」や「金田一少年の事件簿」が国民的な漫画であるが、「Q.E.D. 証明終了」も有名ではあるがクオリティーの高さから言えば国民的な漫画になるべき作品である。
実際、NHKでテレビドラマ化もされており、「これは来るかな〜」と思ったこともあった。
キャラが淡白であるという意見があるが、それはちょっと違う気がする。
主人公の少年と女子高生の2人の掛け合いは面白いし、ラブコメディ的な要素もある。
個人的にこの漫画が社会現象になっていないのは、「同系列の雑誌にすでに「金田一少年の事件簿」があったから」だと思う。
「Q.E.D. 証明終了」も「金田一少年の事件簿」もマガジン系列であり、「金田一少年の事件簿」は1992年より連載を開始している。
そして「Q.E.D. 証明終了」の連載が始まる前に、「金田一少年の事件簿」は推理漫画の金字塔として確固たる地位を築き上げていた。
「金田一少年の事件簿」は週刊少年マガジンでプッシュをされており、同雑誌に2つも推理漫画は不要だ。
あくまでも予想だが、おそらくそういう経緯から、「Q.E.D. 証明終了」は発行部数の多い週刊少年マガジンではない雑誌で連載が始まった。
(連載されていた雑誌は素晴らしい漫画が多く面白かったが、発行部数の点では週刊少年マガジンには劣った。)
そのことで子供たちの話題になることが少なかったり、書店で置かれる頻度が少なかったのではないかと思っている。
まとめ
「Q.E.D. 証明終了」は何度読んでも面白い推理漫画である。
今の何倍も評価されるべき作品だ。
ただ初期の作品はかなり前のものになり、今読むと少し違和感がある。
まずは続編の「Q.E.D. iff ー証明終了ー」から読まれるのが良いと思われる。
※ この記事で述べられている内容はあくまでも個人の感想です。
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