まる猫の今夜も眠れない

眠れない夜のお供に

ナッシーという同級生 [ほのぼの昔話]

ナッシーという同級生

僕が小学生のとき、クラスにナッシーという人物がいた。

すごく痩せていたが、遊ぶときはとてもエネルギッシュだった。

ナッシーは決して誰かを傷つけるようなことはしない人物だった。

だからナッシーが級友から嫌われるということはなかった。

寧ろあることでナッシーはみんなの注目を浴びていた。

それはナッシーが四六時中お休みになられているという点だ。

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青い猫型ロボットが主役の漫画に出てくるメガネをかけた少年がいるのだが、その少年よりもナッシーのほうが速く寝るのではないかというほどの速度で彼は夢の世界に向かわれた。

先生が起こそうにも起きず、1時間目から4時間目まで寝ていることもあった。

そのあと給食を食べて午後もいち早くお休みいただいていた。

ナッシーのお母さんも心配してお医者さんに行ったが、お医者さんからは「異常なし」という診断を受けたらしい。

ナッシーと遊んでいるときに(遊んでいるときはナッシーはとても元気だった)、僕たちはナッシーからそのことを聞いたのだが、「じゃあ何であんなに寝るんだろう?」と不思議に思っていた。

何しろ、体育でも腕立て伏せをしているときに寝てしまうという超高度な技を披露していたくらいだ。

給食を食べているときもスプーンを持ちながら寝ていたこともある。

まるでコントだ。

プールの時間は起きていてくれたことがは幸運としかいいようがない。

ここまで来ると僕たちも「次はどのような技を披露してくれるのか」と期待するようになり、ナッシーは男子の間で人気者となっていった。

期待に応えるように、ナッシーはその後もウルトラCの技を決め続けていた。

僕たちが一番感動した技は終業式の日に見られた。

終業式の日にたくさんの用具を持って帰らなければならず、かつナッシーは教材を入れる袋を忘れていたので、ありとあらゆるものをランドセルに詰め込んだり、くくりつけたりして持ち帰ろうとしていた。

当然ランドセルは重くなる。

痩せていたナッシーはランドセルを背負うとゆっくりと後ろに倒れていった。

ランドセルが地面についてナッシーは仰向けになった。

そして静かに瞳を閉じ、夢の世界へと誘われていった。

僕たちは感動して拍手をし、その技を「亀の哀しみ」と名付けた。

長期休みが終わると、ナッシーは学校で眠らなくなっていた。

どうもお母さんにゲームを没収されたらしい。

 

※ 素敵なアイマスク。

 

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