※ この内容は以下の記事の続きです。
maruneko-cannot-sleep.hatenablog.jp
少年探偵団発進!
小学校の一日が終わる。
今日は誰とどこで遊ぶかという打ち合わせが始まる。
いつもは塾で忙しいアキラもこの日は遊べるとのことだった。
ヤンシも誘うが、「今日はお母さんに床屋へ行けと言われてるんだ」という返事だった。
来た!
ふかしいも探偵団出動だ!
僕とマオとアキラの3人はすぐさま家に帰り、ヤンシの家の近くで落ち合う。
ヤンシは床屋へ行くと言って本当は何をしているのか?
しばらくするとヤンシが家から出てきた。
ふかしいも探偵団の調査の始まりだ。
追跡、そして...
この事件で考えられる最悪のケースは、ヤンシが悪い人にお金を持ってくるように言われているというものだった。
そのケースならば家に帰ってお金がないのも無理はない。
ヤンシのお母さんは多分そのことを心配して僕たちに相談したのだと思う。
そうなった場合、僕たちがそれを発見して、ヤンシを悪から救い出すつもりだった。
そしてこの事件で考えられるハートウォーミングなケースは、ヤンシが捨て猫などに餌をやっているというものだった。
餌代に2千円が消えたということも考えられる。
ヤンシは優しい人間だ。
よく道にいた野良猫の頭を撫でていた。
僕たちは「猫の方であってくれ」と願いながら、ヤンシの跡を付ける。
そしてヤンシは床屋の前を通り過ぎたのだ。
やはりか...
ヤンシは意図的に床屋に行っていないのだ。
ヤンシはそのまま駅まで歩いて、町で唯一のデパートに入っていった。
なぜ、この場所に?
真実は想定していた最悪のケースでも、ハートウォーミングなケースでもなさそうだ。
そのあと、ヤンシはエスカレーターを登り、3階まで進む。
そして小さな書店のコーナーに消えていった。
僕たちはエスカレーターのそばのベンチでヤンシを待った。
すると暫くしてヤンシが買い物袋を持って現れた。
僕たちはヤンシに声をかける。
ヤンシは「やあ、どうしてずっと声をかけないのか不思議だったんだよ」と言った。
何ということだ、ヤンシは僕たちに気付いていたのだ。
マオは「ヤンシ、お母さん心配してるよ、どうして床屋に行かないの?」と尋ねる。
ヤンシはバツが悪そうに、「実はこれを買いたくて」と答えた。
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漫画だ。
ヤンシの袋にあったのは当時子供たちの間で大人気だったつるピカハゲ丸という漫画だった。
確かに面白い漫画だった。
今読めば童心に帰れるので、購入されても困りはしないと思う。
実際には3巻が入っていた。
ヤンシは床屋代を漫画に使っていたのだ。
な〜んだ、じゃあお母さんにはちゃんと謝るんだぞ。
使ってしまった分はお手伝いを毎日して返せよ。
お母さんも心配していたような内容じゃなくて安心するだろう。
これにて一件落着...ではなかった。
ヤンシは「3巻が面白いんだよ〜」と言って、買い物袋を広げる。
...3巻が...5冊入っている。
僕たちはサーッと血の気が弾いていくのが解った。
1つ謎が解けたら、すぐさま次の謎が襲ってきた。
「家にはあと3冊あるんだぜ、すごいだろ」と自慢げなヤンシ。
こいつはヤヴァイ。
心のアラートがそう訴えかけてくる。
理由が全くわからない。
それを突き止めるのが探偵の仕事なのだが、もう怖くて仕方がない。
僕たちは「小学校で遊ぶから」と言って、いち早くヤンシと離れることに成功した。
そして小学校に向かう途中、ヤンシのお母さんに会った。
ヤンシのお母さんは「あの子、何をしていたの?」と僕たちに聞いてきた。
「意味がわからない行動をしていた」と言うこともできず、僕たちは途中で見失ったと伝えた。
ふかしいも探偵団最初の事件は敢え無く迷宮入りとなったのだ。