内省的導入部分
タイトルに[日記]と書かれている記事はたいてい面白くない気がする。
我ながら「日記ですから面白くないのも仕方がないですよね」という予防線をはっているようで非常に浅ましい。
今回の記事がどうなるかはこの時点では誰にも解らないというのも大変もどかしい。
秋のジョギング
秋のジョギングは心地よい。
湿度の問題があってか夏よりも格段に走りやすい。
街角には金木犀が咲いている。
花好きの恋人が「金木犀はトイレの香りがするという人がいるけれど、私は好きだな」と言っていたのを思い出す。
この年齢になって花の香りが解るようになった。
秋の儚い香りは素敵だ。
いつもより少しだけ速いペースで街をゆく。
しばらく走ると河に着いた。
その河は河岸を走れるような作りになっていて、魚影や亀が泳いでいるところが見えたりして大変気に入っていた。
ただ水はとても濁っていて、美しくない色をしていた。
ふだんはそこまで気にしないのだが、金木犀の香りが素敵だったせいか、河の素敵でない匂いがキツすぎて、僕は息を止めて河岸を走り抜けた。
秋の濁った河の香りは不敵だ。
階段を登り、河岸から離れる。
街はイチョウの木で黄色に彩られる。
河岸のにほいのことは忘れて、僕は街の風景になっていった。
「秋の華美ではない色合いも捨て難いなぁ」と思いながら、走るペースを緩める。
なんとなく京都に行きたくなる自分がいる。
足首が痛いので少しストレッチをして再び走り出そうとした刹那、獰猛な匂いが僕を襲ってくる。
銀杏だ。
茶碗蒸しなどに入っている銀杏は大好きだ。
たくさん食べてはいけないらしいが、お店だとついつい余分に頼んでしまう。
しかし街路に散りばめられた銀杏はなぜあれほどまでに獰猛な匂いを発するのか。
ヤンチャすぎて気を失いそうになる。
秋の街路の香りは劇的だ。
再び僕は息を止めて、走るスピードを速めた。
秋にお願いだ。
シンプルに...秋を楽しませて欲しい。
余談
街を走っていると床屋さんがあった。
その床屋さんには手書きで「髪の毛8585」と書かれてたポスターが貼られていた。
その「8585」の上には「パツパツ」というルビがふられていた。
僕は「『パツパツ』だったら『8282』じゃないのか?」と思いながら、家路を急いだのだった。
※ 食べると美味しい銀杏です。
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