冬の恐怖話
こんな寒い季節に背筋が凍る話をしていいのかわからないが、恐ろしい体験をした。
怖い話が苦手な読者様は今回の記事はスキップされたほうがいいと思われる。
愛する読者様の中には今までのブログの傾向から「そんなこと言っていつもの前フリだろう」と思われる方もおられると思うが、今回はちゃんと怖い話だ。
ある日、家の近くのコンビニでコード決済をして食べ物を買って家に帰った。
家に着いて、荷物をおろし、奥様に今日一日のことを話した。
奥様はキッチンにいて、一切の僕の話を右から左に受け流していた。
一息ついて、仕事のLINEが入っていないか確認しようと携帯電話を探す。
ない。
携帯電話がないのだ。
僕が焦ってありとあらゆる場所を探し始めた。
携帯電話がないということで人は心底不安になるものだ。
焦燥感に潰されそうになり僕は右往左往していた。
それに気付いた奥様が声をかけてくれた。
「私の携帯であなたの携帯の在り処を探してあげるわ。」
頼もしい。
思えばそういう頼もしさにひかれてこの方と結婚をしたのだった。
僕は奥様に心底感謝した。
しかし結局奥様はその携帯GPS的なアプリの使い方が解らず、「だめだこりゃ」と諦めてしまった。
そして何事もなかったかのように夕食の準備に戻られた。
さすがだ。
諦めがいい。
思えばそういう諦めの良さにひかれてこの方と結婚をしたのだった。
ただこんなときでも人間というのは楽観的なもので、「どうせどこかにあるだろう」と思っていた。
取り敢えずコンビニで携帯を使ったことは明らかなので、そこまで家着のまま走っていく。
途中で携帯が落ちていないか確認しながらコンビニまで小走りしていくが、もちろんどこにも落ちていない。
コンビニに着いて、店員さんに「携帯電話って落ちてなかったですか?」と尋ねる。
店員さんは海外の方で「携帯電話は売ってないよ」と教えてくださった。
これはやばい。
この時点で頭が真っ白になる。
トボトボと家に帰り、無言でダイニングのイスに腰掛ける。
奥様は僕が直面している問題に完全に興味を失っており、「もうすぐご飯だからテーブルの上を片付けて」とおっしゃられた。
さすがだ。
切り替えが速い。
思えば僕に全く興味がないことにひかれてこの方と結婚をしたのだった。
しかし携帯電話がないと本当に不安だ。
このことをメモしてブログに書こう。
僕はそう思った。
そしておもむろにズボンのポケットから携帯電話を取り出して、メモのアプリを開いてことのあらましを書き連ねた。
いやぁ、老いって怖いですよね。
...あぁ、読者様、どうか物を投げるのはお止めください。
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