※ この内容は以下の記事の続きです。
maruneko-cannot-sleep.hatenablog.jp
前回までのあらすじ
僕が在籍した学年だけかもしれないが、僕の学校では修学旅行の練習が行われた。
(話によれば昔は日本各地でこの練習は行われたらしい。)
僕たちの学年は超中学生級のアウトローが数多く存在していて、彼らは先生の話や注意をろくに聞くことができない個性を持っていた。
そのアウトローたち全員がふつうに新幹線に乗れる可能性はかなり低い。
そしてアウトローたちは修学旅行などの宿泊行事に限って集合時間5分前集合を確実に行うので、先生たちもあわよくば駅に置いていくということはできないのだ。
したがって、新幹線にちゃんと乗せる以外に事を荒立てない術がないわけだ。
新幹線に乗る練習、始まる
修学旅行前のある日、タミー先生にクラスの生徒が体育館に呼び出された。
体育館に入ると、中央の床にテープで新幹線の座席が描かれていた。
俯瞰で新幹線の座席表を見たような感じだ。
タミー先生はクラス全員を青いテープの部分に集合させて体育座りをさせた。
そして先生は高らかに宣言をした。
「今から新幹線に乗る練習を行う。」
どういうことだ?
僕たちはザワザワし始めた。
優等生のスズキが「先生、どうして新幹線に乗る練習をするのでしょうか?」と恐る恐る尋ねる。
タミー先生はその質問に対して、「先生が笛を吹くので、自分が座る席まで速やかに移動すること」と暴投気味の返答をする。
ザワザワは収まらず、不満の声が上がり始める。
しかしその雰囲気を切り裂くかのようにピィィィィィ〜!!!というタミー先生の笛の音がなる。
悲しいかな僕たちは笛の音に反応をし、自分の座る席へと急いだ。
タミー先生は「何分かかってるんだ!」と叱咤する。
「〇〇は新幹線の壁を突き破って椅子に座るのか?」
床にテープで「乗車口」と記された場所を通らなかった〇〇が叱られている。
「△△は座席の上を走っただろう!」
迂闊だった。
こんなにジャッジが厳しいとは。
タミー先生は青いテープの場所にクラス全員を再集合させて、セカンドトライアルを開始した。
意味が.........意味が解らない。
意義を.........意義を見出だせない。
それでも僕たちはタミー先生の笛の音を聞き、自分の席に駆けつけた。
「駄目だ、1分30秒以内に全員着席しろ!」
この人は新幹線に乗る練習の鬼や!
クラス全員がそう思いながら、タイムを縮めるために試行錯誤をする。
班ごとに座ることになっていたルールを一旦廃止し、名簿番号1番から奥に詰めるというシステムを採用することで、タイムは飛躍的に伸びたのだった。
ついにクラス全員が座るまでに1分30秒を切った。
僕たちは歓喜した。
やればできるのだ。
そして意気揚々と体育館を出ようとしたそのときであった。
ピィィィィィ〜!!!
な、何!?
タミー先生の笛が鳴る。
「あの野郎」と僕たちは思ったが、もはや僕たちはパブロフの犬状態にあり、笛の音を聞くと座席に向かって駆け出してしまうのだった。
「全然駄目だ!」
タミー先生は納得がいかない様子で怒鳴った。
「お前たちはホームを飛び越えて電車に乗るのか!」
いや、それはおまいが体育館から僕たちが出ようとしているときに笛を鳴らしたからだろうが!
僕たちはそう思ったが、熱くなったタミー先生に何を言っても無駄だと知っていたので無言で青テープの場所に戻った。
そしてその練習のおかげで僕たちは全員無事に新幹線に乗ることが出来た。
ありがとう、タミー先生。
しかし僕たちの乗った新幹線が駅に7分近く停車するということをタミー先生は知らなかったらしい。
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