大人の嗜み
くどいようだが僕にはビュッフェにおいて料理を美しく盛り付ける才能が著しく欠如している。
元来意地汚く、何度も料理を取りに行くのが面倒な僕のような人間はビュッフェ・プレートに高々と料理を盛り付けて、ほかのお客さんから「バベル」とあだ名をつけられているだろう。
「バベル」ならまだしも「バブル」と言われている気配すらある。
弾けてみたらいいのだろうか?
このビュッフェで高々と料理を積み上げる盛り方は「全力滅茶苦茶盛り」と命名されていることは先刻承知であろう。
そしてこの「全力滅茶苦茶盛り」を回避するために「スプリング・ハズ・カム」「SHUNRAI」という盛り付け方法を発案させていただいた。
今回はノスタルジーという隠し味をもつ「おもひで」という盛り付け方法を発案させていただきたい。
これまで同様に使用するプレートは以下のようなビュッフェ・9つ仕切り・プレートとする。
そして盛り付けの説明のため、仕切りに①から⑨の番号を付ける。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
今回の盛り付け方法である「おもひで」だが、少女時代・少年時代の夏休みをイメージしている。
どこまでの高い夏の雲、緑が萌える山々、いつの日にか行った海とそこでした潮干狩り。
そんな幼き日のおもひでを呼び覚ますような盛り付け方法である。
まず③に高い雲を描くために高々とポテトサラダを盛り付ける。
高ければ高いほど夏の雲に近づくが、我々は大人であることを忘れてはならず、節度を持った高さに盛り付けるよう尽力したい。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
①と②には山を表現するためにブロッコリーを並べる。
これだけでも深緑の景色を模すことができるが、枝豆のサラダをブロッコリーの下に添え、そこに抹茶塩をふりかけることで立体的な山を表現することができる。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
⑥と⑨には海を表現するために海藻サラダを敷き詰める。
なるべく透明なものが望ましい。
さらに好みに合わせて、海藻サラダの上にシラスなどをトッピングすると生命を生み出す偉大な海を表現することができる。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
④⑤⑧は砂浜を表現するためにチャーハンを敷き詰める。
ご飯は別の器で食べたいというかたはもやしを←のほうへ向けて敷き詰めるのも可能だ。
ただしもやしを敷き詰めた場合は、それだけでは食べられないので、その上にベーコンチップかガーリックチップをふりかけ、さらにシーザードレッシングなどをかけるのが望ましい。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
最後に⑦にはまず中華エビせんべいを2枚盛り付ける。
そして中華エビせんべいの中に照り焼きチキンを入れれば、海辺にたたずむ貝殻を表現することできる。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
動物性たんぱく質が不足していると考えられる場合は⑤にも⑦と同様の盛り付けをすればよい。
これで「おもひで」の盛り付けは完成となる。
「おもひで」は全体的に野菜が多めのヘルシーな盛り付けとなっているが、それだけでは物足りないと感じる場合は別皿でカレーライスなどを食べ、少女時代・少年時代に思いを馳せるのも素敵だと思われる。
美しく盛り付けたら美しく食べきろう。
ストップ、フードロス!