問と解
信号待ちをしていると、親子が自分の前で会話をしていた。
小学校低学年の可愛らしい男の子と真面目そうなお父さんだ。
盗み聞きをする趣味はないが、2人の声は大きくて、会話が否が応でも耳に入ってきた。
男の子は聡明そうで、たくさんの「なぜ」をお父さんに投げかけていた。
お父さんは子供のいろいろな質問に真摯に答えようとしていて、非常に好感が持てた。
黄色い信号
男の子はこんな質問をした。
「黄色い信号って何で必要なの?」
子供が渡る横断歩道には黄色い信号はない。
運転手用の信号だけに黄色い信号があるのは不思議に思えたのだろう。
とてもいい質問だと思う。
言わずもがな、徒歩より車は速いから、青からいきなり赤になられても運転手が困る。
黄色というワンクッションがあるおかげで、運転手はあとどのくらいで赤になるのか解り、安全運転ができるのだ。
ところがお父さんは、質問に答えすぎて疲弊していたのか、謎の解答を子供に与えていた。
「黄色い信号をなくすと、その信号だけを作っている人が困るだろう?」
黄色い信号だけを作るお仕事があるのか知らないが、「なぜ?」に答えられていない気がする。
男の子は「そっか、そうだよね〜」と言って納得していた。
みんなが大好き
男の子の質問は続く。
いろいろなことに疑問を持つ子供は伸びる。
お父さんもそう考えて、面倒くさがらずに質問に対応していたのだろう。
子供が疑問の解答を自分で導き出せるようにさせたら最高だ。
「みんなが大好き、アン◯ンマンってどういう意味?」
これはつまり、「みんながアン◯ンマンを好き」とも、「アン◯ンマンがみんなを好き」とも取れるが、どちらが正しい解釈かという質問らしい。
確かにそうだ。
全く気付かなかった。
何と頭のいい男の子だろう。
つまりアン◯ンマンが主語なのか目的語なのかを聞いているのだ。
お父さんは盲点だったという顔をしている。
多分両方の意味が正しいのだと思う。
そう彼は真のヒーローなのだから。
しかしお父さんは答えが解らず、しばし沈黙をする。
そしてやっと口を開く。
「『みんなはアン◯ンマンが好きなんだけど、君はどうですか?』っていう意味じゃないかな?」
斬新だ。
本当にそんな解釈ができるのか?
男の子は「ふ〜ん、そうなんだ〜」と言って納得したようだった。
坊や、お父さんは立派だけれど、答えにエッジが利きすぎているよ。
maruneko-cannot-sleep.hatenablog.jp