まる猫の今夜も眠れない

眠れない夜のお供に

あなたにいてほしい

あなたにいてほしい

「あなたにいてほしい」はスイング・アウト・シスターさんの90年代の名曲である。

いま聴いてもまるで色褪せない儚げで美しいメロディーとどこか憂いのある澄んだ歌声が琴線に触れる。

僕はこの曲を聴くとなぜだか鬱々とした若き日々を思い出してしまう。

それだけ色濃く心に残る名作ということだろうか。

 

こども

僕は子供が習い事をしている間、待合室で仕事をしていると記事に書いたことがある。

その日は仕事場以外でできる作業がなく、ブログを書いていた。

すると知らない男の子が僕の隣の席に座った。

おそらく幼稚園児だろう。

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「仕事してるの?」

男の子からの突然の質問にドギマギしながら僕は答える。

「いや、ちがうけれど。」

男の子は質問を続ける。

「ふ〜ん、この写真っていつ撮ったの?」

僕はできる限り優しい声で答える。

「いや、僕が撮ったんじゃないんだけれど。」

男の子はどしどし質問を応募してくる。

「何をしてるの?」

僕は限りなく優しくそして冷静に伝える。

「記事を.........書いています。」

僕は「この男の子の保護者はどこにいるのだろう」と不思議に思った。

そしてその保護者に対して、「あなたにいてほしい」と思うのであった。

それから僕は満を持してその男の子に聞いた。

「ボクのお母さんかお父さんってどこにいるの?」

するとその男の子はビクッとして言った。

「この人、お父さんじゃない!」

※ なお、ここからはトイレでの出来事に関わる内容ですので、食事などをされているかたは読むことを止められたほうがいいかもしれません。

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おっさん

男の子は僕のもとを去った。

実の子供の習い事がそろそろ終わる時間だったので、僕はパソコンを閉じてトイレに向かった。

男性小用トイレは2つあり、僕は入口から遠い方を選んだ。

するとすぐその後におっさんがトイレに入ってきた。

たぶん年齢は僕と同じくらいか少し上といった感じだった。

おっさんは右手で携帯電話を操作していた。

そして男性小用トイレまでまだ2メートル近くはあろうという地点で、左手を用いてチャックを下げ始めた。

掟破りのスーパー・フライング・スタートである。

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そしてそのおっさんは右手で携帯を操作しながらお花を摘んでいた。

僕は「撮影されているのでは?」という不安に襲われながらおっさんに対して思った。

「あなたにいてほしくない」と。

そしてあとになって解ったが、さきほどの男の子とこのおっさんは何の関係もない2人であった。

これらの出来事は待ち時間の1時間の中で起きたものである。

この世界で生き抜くためには素敵な音楽は不可欠だと思った。

 

この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。