ツナガリ
希望が見えない暗闇の中もあの人は迷わず進んでいく。
あの人はこちらを振り返って微笑んでくれる。
自分には守りたいものがあるから、歩みを止めることはできないんだよ。
そんなふうにあの人は言う。
自分は人と人のツナガリの中に存在している。
だからつながっている人は守りたいんだ。
あの人はそう続けて前を見つめ直して、戸惑いすら見せずに暗闇を前に進む。
今のこの瞬間も僕は誰かのお陰で生きていられる。
誰かが耕した畑でできた野菜を食べている。
誰かが育てた牛や豚を食べている。
誰かが建てた家に住んでいる。
誰かがデザインした服を着ている。
誰かが作成したアプリを使っている。
誰かが始めてくれたサービスを利用している。
顔も解らない誰かに感謝をしたい気持ちでいっぱいになる。
ありがたいことに自分にも守りたいと思う人たちがいる。
その人たちを守れるならば、プライドなんて捨てるのは容易い。
その人たちが笑顔になれるように、自分をなくすことも容易だ。
僕はその人たちからそれ以上のものを貰っている。
その人たちが幸福であると、僕はそれ以上の幸福感を感じられるのだ。
その人たちがいてくれるから、僕は僕でいられるのだ。
その人たちが今日もいてくれることがたまらなくありがたい。
その人たちが明日もその次もずっとずっと幸せでいて欲しい。
その人たちの幸せ以上に大切なものなどこの世にはないのだ。
ありがとうという気持ちがいつもいつも伝わってほしい。
生まれてくれてありがとう。
出会ってくれてありがとう。
ともに生きてくれてありがとう。
自分は色々な人に支えられて生きている。
ありがとう。
自分には自由に使えるお金がほとんどない。
自分には自由な時間があまりない。
けれども大切な人たちがいてくれる。
ありがとう。
そんなことをティッシュペーパーの使用上のご注意を読んで思った。
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