セイヴ・ユア・ソウル
アイツを救い出すまではここをテコでも動かないつもりだ。
今日まで生きてきて、アイツには幾度となく救われたからだ。
打ちのめされた夜にもアイツがいてくれたから俺は立ち上がれたんだ。
どんな虚しい日々にもアイツがいてくれたから俺は前に進むことができたんだ。
アイツが俺に力をくれた。
だからアイツは俺が必ず救い出すつもりだ。
そんなアイツは今も金網の牢屋に閉じ込められたままだ。
きっと独りぼっちで淋しい想いをしているんだろう。
そう、これから俺がアイツを助け出すのさ。
どこからアイツが流れてきたのかわからない。
どこにアイツが行こうとしているのか知らない。
アイツに聞いたりするのは野暮ってものさ。
解っていることは1つだけ。
俺はアイツが愛おしい。
たった独りのアイツを俺が救うのは当然なことだ。
言葉にできない理由のほうが強い感情でできているってことは知ってるよな。
だから待っててくれ。
俺がお前を救い出すから。
笑っちまったよ。
どうやら俺のファミリーも同じ気持ちみたいだ。
血は争えないな。
みんなアイツを求めている。
みんなアイツが好きなんだ。
俺は「ファミリーをこんな争いに巻き込む訳にはいかない」と言い張る。
ファミリーは言葉には出さないけれど、「それでも俺が行く、あたしが行く」って顔をしているぜ。
困った奴らだ。
もちろん、この俺も引くつもりはないけれどな。
例え火の中だろうが、俺はアイツを救い出すぜ。
アイツに降りかかる火の粉を振り払って、アイツを救い出すぜ。
そういやあ、レモンのような香りがする香水をアイツは大好きだったな。
しょっぺぇのは好きじゃねぇ。
ただ助けるだけじゃ淋しいってもんだ。
だからアイツに香水でも持ってってやろうと思ってるんだ。
こんな状況でも笑ってやろうぜってな。
それから俺は煙が昇るアジトを目を凝らして見つめた。
アイツはここにいる。
待ってろよ、今から行くからな。
俺のこと、待ち焦がれてろよ。
そうさ、網の上の最後のお肉は俺が必ず食べてやるぜ。
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