まる猫の今夜も眠れない

眠れない夜のお供に

ハードボイルド、AM4:05

アンダー・ザ・ムーンライト

真夜中に男は目を覚ました。

月明かりが差し込む部屋で男は横たわっていた。

自分がそれまで見た夢をすっかりと忘れてしまっていた。

ただ自分が今此処にいるというリアリティーだけはしかと感じ取っていた。

ときより男が苦悶の表情を見せるのは傷が痛むからなのか。

悶えながら、歯を食いしばりながら、自分の体が睡魔に飲み込まれるのを待っている。

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恐怖は過去からやってくる。

過去の過ちが男を蝕んでいる。

犯してしまった罪で、男は横たわったまま、身動きが取れない。

どれだけ過去を悔やんでも、過ぎてしまった時間を戻すことはできない。

そんなことは解りきっているのに、自分がしでかした罪を許せなくて、後悔が止め処なく溢れ出す。

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そうだ、あの茶色の液体だ。

茶色の液体を男は眠りに就く前に大量に流し込んだ。

男は自分の欲望を枯渇させるためにその液体を飲み干したのだ。

その液体が体の中を巡り、今の自分を蝕んでいる。

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この状況は過去に過ちを犯した自分への罰だ。

それまでの人生から何も学んでいない自分への罰なのだ。

男は横たわりながらも、頭を抱え込む。

過去の過ちによって、自分の体がゆっくりとベッドの中に引きずり込まれるように感じる。

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逃げ出すことはできないのか。

向き合うしかないのだろうか。

男は幾度となく寝返りをうちながら自分に問いかける。

男は本当は知っているのだ。

この状況で自分がすべきことを。

それをただただ誤魔化して、眠りの中で忘れ去ろうとしている。

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ついに体の中に茶色の液体は巡りきってしまった。

男はそれでも自分の過ちに対しての責任のとり方を決められないでいた。

重い重い暗闇の中で、いつもよりも遅く秒針が刻まれていく。

そしてそれから男の口からやっと言葉が絞り出される。

 

おしっこにいきたいけれど、ベッドから出られない。

あんなに寝る前にお茶を飲むんじゃなかった。

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