早朝の決闘
僕はよく真夜中1時くらいに目を覚ましてしまう。
そして不安や後悔などのネガティブな感情に苛まれたあとようやく3時過ぎに再び眠りにつくことができる。
それからはたいてい6時くらいまで眠れるのだが、その日は朝5時に目を覚ました。
ヴ〜ンという音が聞こえたからだ。
最初は機械音だと思い、ゆっくりと目を閉じようとした。
しかし次の瞬間、僕はカッと目を見開くのだった。
そう、僕の部屋にはそんな音のする機械はないのだ。
唯一可能性があるとすればエアコンの音であるが、そもそもそれはコンセントを抜いているので起動するはずはない。
チッ、羽音か。
僕は舌打ちをした。
昨日は夜の10時から12時くらいまでテレビを見ながらブログを書いていた。
この音の主はなぜその時間はヴ〜ンヴ〜ンと言っていなかったのか。
もしも飛行石を持っていたら絶対にあの言葉を言うと思われるほどに僕はイラッとした。
しかしただイラッとしていても始まらない。
敵の正体を見極めなくてはいけない。
音の方を見てみると、何やらものすごい勢いで虫野郎が飛んでいた。
判断しなくてはいけないのはヤツが僕を刺すか否かということである。
恐怖から薄目で見てみるが、すごい速度で飛んでいやがるのでジャッジが難しい。
起き上がって近づこうとすると、凄まじい勢いでこちらに飛んでくる。
僕は恐怖からかベッドの上で受け身を取ってその虫野郎との激突を間一髪でかわす。
それから幾度か僕は起き上がっては飛んでくる虫野郎をかわすためにズデンとベッドの上で受け身を取ることを繰り返した。
まるでプロレスの練習生のようだ。
そして敵の正体をとらえた。
でかい蝿野郎だ。
正体さえつかめれば何ということはない。
僕は武器を探したが、部屋にはギターしかない。
そういうところはかっこいいが、世相を切る武器を手にしてどうする。
僕は恐る恐る部屋を出て、武器を自作した。
1リットルのペットボトルの下半分をハサミで切り取り、蝿野郎を封じ込める封印箱蝿スレイヤーを作成した。
そして段ボールの蓋を作り、準備万端で自分の部屋に戻る。
僕の蝿スレイヤーで蝿野郎を封じ込めてやるのだと意気込んでいいたが、蝿野郎はどこにもいない。
やっと見つけると蝿野郎は床で仰向けになっていた。
どうやら高速で窓ガラスにぶつかったようだ。
愚かな蝿野郎だ。
僕は蝿スレイヤーのそこを持って、蝿野郎にそっとかぶせて閉じ込めた。
蝿野郎に意識が戻ると、ペットボトルの上の方(つまり底の方)へと登ってきたので、蝿スレイヤーを少し持ち上げて、段ボールの蓋をそこに入れ込み、封印に成功した。
しかし狂ったように蝿スレイヤーの中を飛び回る蝿野郎を見ると心が痛くなった。
僕は蝿スレイヤーを玄関まで持っていき、ドアを開け、外で蝿野郎を逃がしてあげた。
蝿野郎は元気よく外界へと飛び立っていった。
一寸の虫にも五分の魂。
お礼は宝くじの1等当選でよろしくお願いします。
この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。
※ ハエ叩き。