※ 今回の話はアメリカの理科の授業でなされた解剖に関わる内容を含みます。
「無理」と思われたら、途中で読まれるのを止めてください。
はじめに迷える者あり
以下の記事でも触れたが、僕がなりたいと思った職業にはミュージシャン、芸人さん、漫画家、学者、医者がある。
maruneko-cannot-sleep.hatenablog.jp
ミュージシャンや学者に関してはそれなりの努力と時間を費やしたが、結局のところ自分に覚悟が足りずに諦めてしまった。
芸人さんと漫画家は作品を作るという段階まではしたが、正式にネタ見せをしたり、会社に持ち込みをしたりすることは勇気がなくてできなかった。
残るは医者であるが、これはもう人を救いたいという甘い憧れを持っていただけで、そもそも学力が充分ではなかった。
何よりも血が怖くて、解剖など全くできない人間だ。
一緒にしてはいけないかもしれないが、お魚さんですらさばけない。
さばけない自分を責めるし、お魚さんに申し訳ない気持ちになる。
だから釣った魚をさばいている人を見ると、心底尊敬してしまう。
そんな僕であるが、アメリカで如何ともし難い状況に陥ったことがある。
アメリカの高校の生物の時間での出来事だ。
アメリカの生物の授業
今はどうか解らないが、僕が留学していたころのアメリカの生物の授業はかなり実践的なものであった。
また州によってアメリカの学校のルールも微妙に違うので、僕が行っていた州特有のものだったのかもしれない。
その授業は座学が行われることはあるが、基本的に動物の体の部位をスケッチしたり、筋肉の繊維を観察したりする形式が多かった。
体の中の構造を写真で見て、それを正確に写すということもした。
ただの暗記だけにとどまらず、非常に能動的な授業であったと感じた。
教科書は自分で購入するのではなく、学校から貸し出されるものであった。
年季が入っていたが、かなり細かい図説などがあり、視覚的にも生物学の面白さが解る仕上がりになっていた。
僕としては自分で体を動かして生物の姿をとらえるという授業形態をとても気に入っていたし、生物学自体が好きになりかけていた。
ところがある日の授業で事件は起こった。
カエルがテーブルに用意されていた。
もちろん、解剖用のカエルだから動いたりしない。
僕は言葉を失った。
これはそういうことですよね?
先生はカエルを解剖して体の作りを確認するように言った。
自分で実際に体の中を見て学ぶことも多いとおっしゃっている。
本では解らない「思ったより大きいな」とか「結構固いな」とかいう印象を感じるのが大切なのだと説明しておられる。
何と素晴らしい授業なのか。
しかし僕はメスとピンセットを持ったまま、ベルが鳴るまで硬直したままでいた。
日本でもご年配の方ならばカエルの解剖を授業で経験されているかもしれない。
しかし流石はアメリカ。
解剖はカエルにとどまることはなかった。
後編に続く
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