高校生に戻ったらしたいこと
高校生に戻ったらしたいことは2つあって、1つは数学ハイを再び味わうことであり、もう1つは国語の攻略だ。
今回は数学ハイの説明をさせていただきたい。
僕はアメリカの高校に通っていた。
僕の行っていた学校は時間割を自分で決めることができた。
厳密に言えば、受けなければいけない授業は決まっているが、何時間目に何の授業を受けるかは自分で決めることができた。
大学の授業に近い感じだ。
受けなければいけない科目には数学も含まれていた。
数学の成績は全く良くなかったが、好きな科目ではあったので、多少背伸びして上から2つ目のレベルを取った。
ついて行けるか緊張しながら授業にのぞんだが、授業の内容を知って不安が安心に変わった。
例えば、アメリカの高校2年生が学ぶ数学の内容は、日本でいうところの高校1年生の内容に近かった。
今はその差はないかもしれないし、寧ろ逆転しているかもしれないが、当時は事実そうであったのだ。
証明などを英語でしなければならないときは難しくてめまいがしたが、公式に沿って計算をするという問題は全く困ることがなかった。
しかも授業では生徒だけでなく教師も計算機を使って計算をする。
日本では考えられないと思うが、テストにも計算機は持ち込み可であった。
アメリカの計算機は日本のものよりもボタンが多く、何に使うか解らない計算ボタンが数多とついていた。
僕も1つ買ってもらっていたが、ボタンの意味が解らなさすぎた。
ボタンに書いてあったのは略語であり、それが何を意味するのか当時は全く理解できなかったのだ。
授業初日の後半は簡単なテストが実施された。
僕は計算機を使うのが面倒くさくなっていたので、紙に式を書いて問題を解いた。
すると、周りの生徒が一人また一人と奇妙な目をして僕を見始めた。
「このアジア人は何をしてるんだ?」という様子であった。
僕が問題を解き終わり、テストを提出すると、クラスがザワッとなった。
どうもそのクラスには飛び級をしている天才君がいたらしく、その生徒よりも僕が早くテストを解き終わったことが意外であったらしいのだ。
天才君は苦々しい顔をしていた。
「お前、何したんだ?」と隣の席の生徒に聞かれる。
いや、九九ですけど?
今まで数学を勉強していて褒められたことがなかった僕が、初めて人に認められた瞬間であった。
転生して最強キャラになった気分であった。
気持ちいい。
ランナーズハイではなく数学ハイである。
ああ、この時間よ、永遠なれ。
後日、教育実習生が来て、数学の授業をしてくれた。
彼は僕に驚いて、授業後に僕を呼び止めて言った。
「君は魔法か何か使えるのか?」
もうすっごいプラスのホルモンでまくり。
あぁ〜数学大好き〜。
このように、高校生に戻ったらしたいことの1つは数学ハイを再び味わうことである。
ちなみに僕は日本に帰ってセンター試験を受けたが、その数学のおかげで志望校変更を余儀なくされた。