秋の帰り道
ここ数年、秋を感じることがないまま冬が訪れることが多かった。
「日本には秋がなくなったのかな」と思うこともあった。
ところが今日は夕焼けが街を赤く染めて、空気も少しだけカラッとしていた。
秋の足音が聞こえる。
僕は定時を少し過ぎてから職場を出て、上機嫌で自転車を漕いだ。
ドラッグストアでお目当てのふりかけを買うつもりだった。
ドラッグストアはまずまずの混み具合をしていた。
レジの前には短い列ができていた。
僕はクール系のボディーソープをカゴに入れた。
そしてお目当てのふりかけを見つけて、列に並ぶ。
間もなく僕の番になる。
店員さんが丁寧な接客をしてくれる。
一つ一つ優しくカゴの中に入れてくれた。
カウンターの下には「混雑を避けるために袋詰めにご協力をいただいております」と書かれた紙が貼られていた。
(つい最近までそのドラッグストアでは、店員さんが購入した商品を袋に入れてくれていた。)
店員さんは「あちらで袋詰めをお願いします」と言って、カゴを持って商品を袋に入れるスペースまで運んでくれた。
そしてまた自分のレジまで戻って行った。
僕は自分で品物を入れることに何の抵抗もないのだが、1つ気になったことがあった。
店員さんがカゴを持って、袋詰めスペースまで運んでくれて、また自分のレジに戻るのに20秒近くかかっているのだ。
しかも店員さんは購入した商品をカゴに入れるときに、綺麗に整頓して入れてくれていた。
客に袋詰めをさせるよりも、明らかに店員さんが入れた方がトータルの時間は短くなる。
実際、僕と同じ考えを持っていると思しき店員さんもおられて、その人は店のシステムに反して自分で袋詰めをしていた。
自分で袋詰めを行うのは当然のことだから違和感はないのだが、このお店のシステムは明らかに店員さんと客にとってルーズルーズの関係を生むのだ。
もしも本当に混雑を避けたいのであれば、袋詰めのスペースに近いレジだけがそのシステムを導入し客に袋詰めをさせて、スペースから離れたレジは店員さんがその場で袋詰めをしたほうが良いのは明らかだった。
僕は何だかモヤッとしながらドラッグストアを後にした。
しかしそのモヤッとした感じは、家までの帰り道で目にした天龍源一郎さん似のヤンキー座りをしているおばあさんを見た途端に秋の空に消えていった。
※ ちなみに天龍源一郎さんはめちゃくちゃ強いプロレスラーでした。
かっこよくて好きな選手でした。
※ 私が愛用するボディーソープ。
クリアな容器が好き。
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