手紙
破れているんです。
いつもこんな僕のために洗濯をしてくれてありがとう。
美味しいごはんを作ってくれてありがとう。
お風呂を掃除してくれてありがとう。
朝早く起きて家族のためにいろいろな準備をしてくれてありがとう。
なるべくお金をかけずに観光ができるように下調べをしてくれてありがとう。
エアコンの掃除をしてくれてありがとう。
季節ごとに洋服を出したり、しまったりしてくれてありがとう。
健康でいてくれてありがとう。

破れているんです。
繰り返しのような毎日だけれどいつもいつも感謝しています。
だから貴女が幸せになってくれるように僕ができることをしたいと思っています。
そしてこの前、ボーナスというものが出たと思います。
確かにご近所さんと較べたら少ないかもしれないです。
けれどもたしか「予想していたより1万円くらい多いかもしれない」と言っていましたよね?
どうか僕に買ってもらうことはできないでしょうか?

破れているんです。
いいですか、僕のパンツは結構破れています。
どうか新しいパンツを買ってほしいのです。
予定よりも少しだけ多かったボーナスを使ってパンツを買ってほしいのです。
このままではBOY MEETS GIRLが起きてしまいます。
いいですか、パンツが少しずつ破れているんですよ?
厳密に言えば僕はボクサーパンツが欲しいのです。
トランクスだとお尻から前方にかけて亀裂が入るのです。
穴が4つになるわけですよ。
チャック部分をいれれば5つですが。
いいですか、このままでは危険なのです。
このままではBOY MEETS GIRLが起きてしまいます。
メジャー・デビューが起きてしまうのです。
革命のファンファーレが鳴り響いてしまうのです。
ノー・ガード・パンツしかなくなってしまうのですよ?
僕の本気が見えてしまうわけです。
奥様、どうか何とぞ僕にパンツを買ってください。
本当に困っているんです。

結論
パンツは買ってもらえませんでした。
信じられないかもしれませんが、実話です。
この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。
※ 僕が履いたことがないパンツ。