気分はウイニング・ラン
頂いた執筆のお仕事を締め切りを守って完了させることができた。
その際に、次回の執筆依頼も頂いた。
本当にありがたい。
梅雨なのに今日は1日晴れている。
そして本日は待ちに待った休みだ。
全てがお誂え向きだ。
まるでウイニング・ランをするかのように、僕はジョギングを開始した。
大好きな真空ジェシカさんのラジオを聴きながら、お気に入りのルートの1つを行く。
すると自分のジャージに違和感を感じた。
前で縛る紐がない。
多分洗濯のときに抜けてしまったのだろう。
数分走るとジャージがずり落ちて、あられもない姿になってしまう。
オラの本気が見られてしまう。
仕方なく僕は、なるべくジャージがずり落ちないように、前かがみで走ることにした。
かなり走りづらい。
無理な姿勢で走り始めて1時間くらいしたころだろうか。
僕の横を一陣の風が通り抜けた。
歳で言えば僕よりもかなり上そうな男性が僕の横を走り抜けたのだ。
男性ではよく解らないので、その人物を仮にピッツアさんということにしておこう。
これはコンプライアンスに配慮してのものだ。
そこは公園の外周であり、1本道だった。
ピッツアさんは僕の20メートルくらい先を走っていた。
前かがみの僕は特に意識せず走り続けた。
ピッツアさんも僕もはっきり言うと遅い。
しかし若さの点で勝る僕がピッツアさんに追いついて、隣りを走り抜けようとしたとき、何とピッツアさんはスパートをかけたのだ。
初めは「たまたまかな?」と思っていたが、同じことが再び起きた。
ああピッツアさん、僕と競争したいと言うことですね。
ここにピッツアさんと恐怖前かがみランナーの戦いの火蓋が切って落とされた。
僕が追いつくと、ピッツアさんはスパートをかける。
そして20メートルほど先でゼーゼーと荒く呼吸をしていた。
それが繰り返される。
僕の頭の中にはウサギとカメの話が自動再生されていた。
諦めなければ、このノロマな僕でも必ずピッツアさんに勝てるはずだ。
僕は前かがみながら自分のペースで走り続けた。
相変わらず、追いつかれるとスパートをかけるピッツアさん。
しかし、ピッツアさんのゼーゼーという呼吸は次第に大きくなっていった。
段々と距離が縮まってくる。
そしてやっと僕がピッツアさんを完全に追い抜いたのだ。
しかしその瞬間、ピッツアさんは最後のスパートをかけ、僕の横を走り抜けていった。
そしてすぐさま僕を追い抜き、道の脇にあったトイレへと駆け込んでいった。
ここからは実際に確認したわけではないので、完全に僕の想像だ。
もしかすると、その瞬間にたまたまピッツアさんがもよおしただけかもしれないが、憶測で物を言わせてもらいたい。
ピッツアさん、僕はトイレを我慢していて前かがみになっていたのではありません。
そして道は丁字路になった。
家までの僕の孤独なレースが始まった。
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