けんかをやめて
仕事がない日は家事を手伝わせていただいている。
僕がするのは食器洗いや風呂掃除、掃除機、ゴミ捨て、洗濯といった家事のほんの一部であり、そんな人間が家事を語るのは片腹痛いのだが、本当に大変な仕事だ。
文句を言いながらも家事を続けてくれている奥様には心底感服している。
先日、僕は仕事が休みの日に洗濯物をベランダに干していた。
久しぶりの晴天であり、たまった洗濯物が片付くのがとても嬉しかった。
僕は上機嫌で作業を進めていた。
耳にはワイヤレス・イヤホンが装着されていた。
いつもならば芸人さんの漫才を聞きながら家事を手伝うのだが、聞きたいと思う漫才はほとんど聞き尽くしていたため、その日は音楽を聴いていた。
何度聴いても刹那くなる名曲である。
ときを同じくして、部屋の中では奥様がかかと上げ体操をしていた。
奥様のされるかかと上げ体操とは両手は伸ばして壁につけ、両足のかかとを数秒間あげるというものである。
簡単に言うならば、つま先立ちになるというわけだが、奥様は1日にこの体操を100回以上される。
足のむくみや体の冷えにも効果的であるようだ。
実際やってみていただければ解るが、かなりしんどいトレーニングである。
1日に50回くらいでいいはずなのに、奥様は100回以上されるから驚きだ。
要するに奥様は1日に100回以上ぴょこぴょこと上下運動をされるわけである。
ここまでの状況をまとめる。
僕は竹内まりやさんのマンハッタン・キスを聴きながら、物干し竿に洗濯物を干していた。
そしてふいに部屋の中を見ると奥様がかかと上げ体操をしていたわけである。
ただ1つ予期せぬ出来事が起こった。
奥様の上下運動と竹内まりやさんのマンハッタン・キスのリズムがシンクロしてしまったのである。
マンハッタン・キスに合わせて上下に振動する奥様。
僕は思わず吹き出してしまった。
それを見て奥様は上下運動を続けながら、こちらを睨みつけてこられた。
そしてトレーニングが終わったあと、窓を開けて「人が努力している姿を見て面白いか」と苛立ちを伝えてこられた。
僕は「いや、違います」と言って、事のあらましを説明したわけだが、奥様のお怒りはおさまらず、口論から諍いに発展してしまったというわけだ。
「どうせ、ブログに書くんだろう!」と奥様は最後に吐き捨てるように言い、険悪なままその日は過ごしたので、このお話はブログには書かないでおこうと思った次第である。
※ けんかをやめて。
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