海外にいると日本食が食べたくなる
こんばんは、まる猫です。
今夜も眠れないでいます。
上の写真はニューヨークのものですが、今夜はシカゴの話をしたいと思います。
15年くらい前の話なので、今のシカゴとはだいぶ異なる部分も多いと思います。
シカゴへは一応仕事で行きました。
しかしながら、その行為からお金が発生したわけではないので、果たして「仕事」と言ってよいものかは難しいところです。
僕はあるホテルに泊まっていたわけですが、指定された時間にホテルの大会議室へ行き、質問があれば答えるというのが主な任務でした。
よく解らないと思いますが、取り敢えず一日に数時間以外は自由な時間が与えられていたので、シカゴの街を探索に出かけていました。
英語には困らないのですが、心配性の僕はガイドブックを持って、有名と思しき場所を日々巡っていました。
一週間いることになっていたのですが、一番困ったのは食事です。
最近になって克服したのですが、僕はずっと独りで外食することができない人間でした。
勝手知ったる日本にいるときですら、独りのときは必ずテイクアウトをしていた程なので、シカゴではなおさらひとり飯はできませんでした。
したがって、食事は主にスーパーマーケットで買ったものをホテルで食べることにしました。
一度はスーパーからホテルに帰る途中で、あまりの空腹のため、地面にへたり込んでしまいました。
その目の前にレストランがあるにも関わらずです。
最近は新型コロナウイルス流行の影響もあってか、海外に行っていないのでわかりませんが、当時のアメリカのスーパーマーケットには、日本ほど惣菜というものがありませんでした。
(スーパーで惣菜が所狭しと並ぶのは日本独自のものかもしれません。)
困った僕はパンとチーズ、そして日本でも売られているスナック菓子を買って、ホテルで食べていました。
お茶が欲しいと思ったのですが、日本で売られているようなお茶は海外ではなかなか手に入りません。
余計なフレーバーが足されているものばかりです。
しかたなく、甘さ控え目の炭酸飲料を買うことになりました。
まあ一週間だし、何とか持つだろうと思っていたのですが、常に口の中で望まない味が広がっていました。
「日本食が食べたい。」
二日目の朝には既にそう思っていました。
そして三日目にはとうとう我慢できなくなり、ガイドブックで日本料理を提供してくれる店を調べて、仕事の時間が終わるとすぐさま駆けつけました。
お店は広くて、店員さんもとても感じよく僕を迎えてくれました。
「ああ、来てよかった。」
綺麗に掃除された店内。
無駄のないテーブルの配置。
天井からいくつもぶら下がる提灯。
そして店員さんが持ってきてくれた熱い甘いお茶。
甘い?
この辺りから少し違和感を感じていましたが、日本食を食べたい欲求にはかえられません。
メニューを見ると、日本の相場の1.5倍程度の値段で料理が紹介されています。
「高いが仕方がない。」
僕は「寿司と味噌汁」と「唐揚げ」を注文しました。
しばらくすると店員さんが笑顔で寿司を持って来てくれました。
湯気出てる。
まさかの熱い寿司の登場に日本料理店ではない店に入った可能性を疑いました。
そして味噌汁が冷製であることにも疑いに拍車をかけました。
「唐揚げさえ美味ければ取り返せる!」
そう自分に言い聞かせ、熱い寿司を頬張ります。
そして店員さんが待望の唐揚げを持ってきてくれます。
フライドチキンだ。
長い目で見れば同じものなのかもしれませんが、ファーストフード店でいただくような骨付きのフライドチキンの登場です。
さまざまな思いが去来するなか、僕は瞳を閉じて、持ってきていただいた料理を口に運び続けました。
それでも、日本に帰国する前にそのお店には3回通うことになるとは、日本食欲求がいかに凄まじいかわかります。
ちなみにそのお店のオーナーは日本人であったと記憶しています。