まる猫の今夜も眠れない

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「思い切ってやめてみたこと」と「いつまでもやめられないこと」

お題「思い切ってやめてみた事」

思い切ってやめてみたこと

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幼い頃から僕は好きな食べ物を最後に残すタイプだった。

より厳密に言えば、好きなものだけを残して、ご飯といっしょにフィニッシュするタイプだった。

好きなものを先に食べる人は「何かあったら、その好きなものが食べられないかもしれないのに」と論破しようとしてくるが、「何かがあった」時点で食べていたもののことは忘れるに決まっていると理論武装し、反対派の意見を寄せ付けなかった。

データを取ったわけではないが、多分「好きなものを最後に残す」人のほうが多いのではないだろうか。

単純に最後に苦手なものを食べると、食後もその味が口に残るから嫌だというのもある。

しかし二十歳を過ぎたあたりから、この「好きなものを最後に残す」という食べ方自体が子供っぽいと指摘されるようになってきた。

三十歳を越すとそんな食べ方をする人は僕の周りでは自分だけになった。

僕は頑固なのか、人からどうこう言われても、自分が納得しないと自分のやり方を変えられない人間なのだが、一緒に料理を食べてくれる女性には何となく申し訳ない気持ちがあった。

僕の食べ方のせいで、その女性が「粋じゃない男を連れている女性」として見られる可能性があるからだろう。

(僕自身は人からどう思われてもあまり気にしないのだが...)

また僕の好きなものには揚げ物も多くあるのだが、年齢的に口に残る油分がキツくなってきた。

これらの理由より、好きなものとご飯だけを最後に残す食べ方を思い切ってやめてみた。

重要なのは野菜だ。

今までは野菜は真っ先に食べ尽くしていた。

しかし今は野菜と好きなものをいっしょに口に運ぶことにより、口に広がる油分がカットされ、食後に清涼感すら感じられるようになった。

愚かしいが、大人になったなぁと思える変化だった。

 

いつまでもやめられないこと

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反対にいつまでもやめられないことがある。

僕は自分に音感とリズム感が備わっていてほしかった。

しかしそれらの才能は与えられず、微妙に鋭い味覚が与えられた。

使っている調味料や隠し味の正体も結構な確率で当ててしまう。

ただそれが自分にとって幸せかというと、そんなことはなくて、料理にソースがかかっていると、その味しか感じなくなってしまう。

とんかつソースなどは僕の天敵なのだ。

味が嫌いなわけではないので、毎回1切れくらいはソースで食べはする。

でもそれはソースの味を楽しんでいるのであり、肉の味は解っていない。

本当に素材の味を見失ってしまうのだ。

だから塩をかけることがいつまでもやめられない。

塩ならばそういうことが起こらない。

天ぷら、トンカツ、焼肉だけでなく、餃子やシュウマイも塩で食べる。

(鍋物はポン酢ではなく塩昆布をかけて食べる。)

 

どこかの地方妖怪と思われても仕方がないほどに、色々なものに塩をかける。

 

解っている。

ちょっと気取っている感があるのは解っている。

通ぶっている感があるのは解っている。

でもそういう理由で塩をかけているのではない人間がいることも解ってほしい。

料理人のかたが手間ひまかけて作ってくれたソースはとても美味しいのだが、僕にはその味しか感じなくなってしまうのだ。

だから妖怪塩かけ小太りになってしまうのだ。