真夏を駆け抜けろ
おすすめはしないが、僕は夏場にジョギングをするのが好きだ。
もちろんたっぷりと水分補給をしながら走っている。
真夏の太陽の下を走ると、体の芯に太陽の熱が入るのを感じる。
ふっと体が軽くなる瞬間がある。
家に帰り一息つくと、大きな仕事を終えたかのような充実感がある。
そして自分の命が拍動していることに感謝をする。
しかし先日、僕はジョギング中に衝撃的な出会いを果たすことになる。
もしもその生き物が僕の知っているあれだとすれば、地球は危機に瀕している。
衝撃の説明
その出来事について話す前に、それがどのくらいの衝撃だったのかを説明したい。
その衝撃たるや、小学校のときにプレイしたディグダグに匹敵する。
ディグダグは可愛らしいキャラクターが多数登場する人気作品で、地中を進みながら敵を倒すというアクションゲームであった。
ただ単純に敵を倒すのではなく、戦略的に進めなくてはいけない奥深い面も持っていた。
やってみれば解るが、大変面白い。
しかし敵の倒し方が衝撃的で、ポンプで敵に空気を送り込んで破裂させるか岩を落として敵を潰すという鮮烈なものであった。
可愛いのに方法論がエグい。
そのギャップに萌える女子もおられるかもしれない。
世界初?まさかの生き物との遭遇!
話を本題に戻す。
あれは幻であってほしい。
あの生き物が地球に来ているとすれば、地球存亡の危機であることは間違いないのだ。
でも確かに僕はそれを目の当たりにした。
僕はタオルで汗を拭きながら走ってきた。
すると遠くから若い男性がママチャリに乗ってこちらに向かってくる。
男性のTシャツは汗びっしょりで肌にピタッとくっついていた。
何のことはないふつうの光景だ。
しかし彼が目に付けているものを見て、僕はのけぞった。
スカウターだ。
スカウターをご存知ないかたがおられるかもしれないので、一応説明しておく。
スカウターとは言わずとしれた国民的漫画ドラゴンボールに出てくるもので、相手の戦闘能力を測る機械である。
主に地球を侵略しようとする宇宙人のかたが付けておられる。
男性は何も言わず、僕の横を通り過ぎていった。
僕が卑小すぎて、僕の力を測る必要すらないと思ったのか。
その男性が宇宙人かどうかは解らずじまいだ。
しかし僕は思った。
どちらにせよ、この街は危険すぎる。