優柔不断を直す当たり前の方法
今でこそしなくなったが、僕はかつては結構なゲーマーだった。
決して上手ではないのだが、やり始めると時間を忘れてやってしまうから問題だった。
若かりし日々は、ゲームをするか、音楽をするか、漫画を読むかのいずれかしかしていなかった。
RPGも名作と言われるものは一通りクリアしているのだが、1番困るのはキャラクターの名前を付ける部分である。
全く決められない。
何時間も考えてしまう。
やっと名前を付けられたのに、ゲームがすすんでから納得できなくなり、結局最初からやり直したことすらある。
自分の決めたキャラだけ和名で、自分で名前を決められなかったキャラがヨーロピアンな名前である場合に起きやすい事件である。
一度などは、主人公に自分の名前を付け、ヒロインと思しきキャラクターに当時付き合っていた女の子の名前を付けたことがあった。
ゲームが進むと、2人が割といい感じになってきた。
こっ恥ずかしいが、まんざら悪い感じはしない。
しかし突然、僕の彼女(の名前が付いていたキャラクター)がラスボスに後ろからガッサーと斬られてしまった。
目が点になる。
そのまま、僕の彼女(の名前が付いていたキャラクター)はゲームから退場となった。
そのゲームには別の女性キャラクターがいて、そのキャラには僕の彼女の友人の名前を付けていたのだが、実はその女性キャラクターこそが真のヒロインであった。
ゲームの終盤には僕(の名前が付いた主人公)と彼女の友達(の名前が付いた真のヒロイン)が二人っきりになるロマンチックなシーンがあるのだが、何だか不貞を働いているようでストーリーどころではなかった。
この一件以来、RPGのキャラクターに自分や知り合いの名前を付けるのを止めた。
そして僕の友達がルパン一味の名前をキャラクターに付けていたのを参考にして、常に好きな落語家さんの名前をキャラクターに付けるようにした。
そうするとゲームの最初で何時間も悩む時間が全くなくなった。
そうなのだ。
優柔不断をなくすには、常に選ぶものを決めておけば良いのだ。
例えば「なか卯」なら親子丼、「CoCo壱番屋」ならパリパリチキンカレーというように、常に選ぶものが決まっていれば迷うことはない。
(この2品は純粋にとても美味しいので、そもそも迷っていないかもしれない。)
今ではRPGでキャラクターに名前を付けるときにも、外食でメニューを選ぶときにも、全く迷わなくなったし、自分の選択に後悔をすることもなくなった。
ただ少しドキドキは減ってしまった。
迷っている時間は遠足の前日のようなワクワク感があったのかもしれない。
人に迷惑をかけない限り、優柔不断は人生を楽しむエッセンスなのかもしれない。