占いを信じますか?
自分は占いを信じない人間だと思う。
けれども毎朝やっている「今日の運勢」みたいなものは、仕事に遅れそうになっても、気になって見てしまう。
そして自分の星座のラッキーアイテムに突っ込みを入れたりする。
ただ仕事場に付いたら結果を忘れていることが多い。
そんな僕が忘れることができない占いの結果が2つある。
今回はそのうちの1つについてお話させていただきたいと思う。
中学生、ゲーセンの占いマシーンと出会う
中学生のとき、友達とゲームセンターによく行っていた。
ゲームセンターと言っても、田舎のデパートの中にあるごく小さなもので、すぐそばで大人が買い物をしていることもあり、雰囲気は健全そのものだった。
基本、コインゲームでまったり遊んでいた僕達だったが、ある日どこのメーカーなのかも解らないような占いマシーンがあることに気付いた。
将来のこと、友達関係、恋愛関係などいろいろなことが占えた覚えがある。
思春期真っ只中の僕達は、もちろん恋愛関係に関する占いを選んだ。
僕達は順番にそのマシーンで占ってもらうことになり、僕の番が回ってきた。
僕は同じクラスの好きな女の子との関係を占ってもらった。
100円だか200円だかを入れて、僕のデータを入力する。
そして入力が終わると、占いの結果がプリントアウトされた。
その占いによると、僕は格式を重んじる女性が好きであるらしい。
当時はどういう意味か解らなかったが、今もいまいちピンと来ていない。
プリントアウトされた占いの結果には、どうも僕が頑固であるので好きな女性とは上手くいかない的なことが書かれていた。
謎のディスりに意気消沈する僕。
しかしそんな僕に光明が差す。
占いマシーンの出した結果には、「以下のあだ名にすれば、運命が切り開けます」と書かれていた。
ふむふむ、それはどういうあだ名だ?
アキラサイトス・トシニローノネ
まず長い。
そして、あだ名なのに名字と名前みたいになっているのも新感覚だった。
しかしそれで好きな女の子に振り向いてもらえるならば安いものだ。
さすがに全部は長いので、その日から僕はアキラと名乗りだした。
友達にも僕をアキラと呼んでくれるように頼んだ。
しかし問題なのは僕の名前はアキラではないということだった。
アキラではない人間がいきなりアキラと名乗りだしたのだから、クラスのほかの生徒にしてみればサイコパス的な人間にしか見えなかっただろう。
もちろん僕が好きだった女の子も僕を見る目が変わった。
変わってほしくない方向に。
ちなみにこの話には後日談がある。
別の友人とこのゲームセンターに行ったときのことだ。
友人に占いマシーンを紹介し、占うようにうながした。
友人は興味津々でマシーンの前に向かった。
友人にも好きな女の子がいたので、その子との今後を占ってもらうようだった。
数分後、メダルゲームに勤しむ僕のもとにその友人がやって来て、こう言った。
俺、明日からアキラサイトス・トシニローノネになるわ。