わかる人だけにわかる話「お腹が痛い2」
※ 今回もすぐにお腹が痛くなる人のお話である。
コミカルに書くことを心掛けているが、共感をしてくださる方には涙なしには読むことはできないはずだ。
歯痛や寝違え、鼻詰まりと同じく腹痛は平穏無事な日常生活を酷く阻害する。
その中でも一撃の破壊力といえば腹痛に勝るものはない。
敗戦してしまうと令和のこの時代であっても次の日からの渾名が変わってしまうからだ。
このブログは上品な淑女も読まれているので、そよ風のような爽やかな描写を心掛けるのだが、結局はそういう話なので、お食事中の読者様はこれ以上読むのはやめ、「世界の車◯から」などをご覧になると良いと思う。
このようなお下品な記事よりも、ああいう素晴らしい番組こそ次世代に残していきたいものである。

とまぁそういうわけで僕はバイトで試験監督をしたことがある。
すぐにお腹が痛くなる僕にはその仕事が本当に辛いものであった。
そして世の中には断れない状況もあるのだ。
お腹が痛くなっても、自分に非がある場合は仕方がない。
例えば試験監督の前日に激辛ラーメンなどを食べていたら僕が100%悪い。
ちなみにそのケースでは他人を監督するどころではなく、僕を保護観察下においてほしいくらいになる。
しかし前日の夕食に精進料理のようなものを食べ、監督の朝におかゆを食べても、お腹が痛くなるのだ。
「ならば何も食べなければいいではないか」と思われるかもしれない。
そんなことは既に試行済みである。
何も食べないとどうなるか?
そうお腹が鳴るのである。
その結果、模試を受けている人たちが集中してリスニング問題を聞いている中、ベース音のような腹の音が鳴り響く状況になった。
必死でその音を抑えるために腹を殴るのだが、それがまた模試を監督している人たちには奇行に見えるわけだ。
だから何かを食べないといけないが、何かを食べるとお腹が痛くなる。
悪循環ここに極まれリである。

そしてその日も案の定お腹が痛みだした。
チューイングキャンディーしか食べていないのに痛みだしたことを恨めしく思った記憶がある。
こんなことなら満漢全席でも食らっていればいっそ潔く痛みを受け入れられたのにと思ってもあとの祭りだ。
ちなみに人生の中で満漢全席を食べた経験はもちろんない。
バイトの僕がピンチに陥っているときにも、2人の正社員の人たちが責任を持って監督してくれていることだけが救いの状態だ。
もしも正社員の1人でも僕と同じようにお腹が痛かったら、その小さな模試会場に不発弾が2発あることになる。
そんな危ない状況にはお目にかかろうとも容易ではない。

腹痛のプロである僕はこういうケースでは体を強張らせることはしない。
それは防御力を高めることになるかもしれないが、力を抜いたときにヤツを止められなくなってしまう可能性があるからだ。
かといって過度に力を抜くと城門を開きっぱなしの城のようになってしまう。
腹式呼吸もいけない。
そんなことをすれば余計な扉が開いてしまう。
自分を無にし、虚空に佇むのだ。
このまま行くといずれ無我の境地にたどり着いてしまうかもしれないなどと思ってはいけない。
考えるな、そして感じるな。
試験時間は終わった。
模試を受けた人たちは「難しかったなぁ〜」などと言いながら教室をあとにした。
僕はその会場の誰よりも汗をかいていた。
そして心を無にしながらベンジャミンを訪ねるのだった。
この記事は例のごとくフィクションということにしていただけないでしょうか。
したがって実在の人物・団体とは一切関係がないとお考えください。
※ 腹痛。