【男のスキンケア】現在地2
果たして僕が最近鏡を自分の姿を映して見つけてしまった容易に予想がつくとんでもないものとは何であったのか。
御明算、「皺」である。
顔の今まで見たことがないところに皺を発見したのであった。
皺、何と嫌な漢字だろうか。
画数が多いのがまた憎らしい。
人は「何を皺くらいで」とおっしゃられるかもしれない。
しかし僕は歩くプリン体と言われるほど顔がトゥルンとしているのだ。
すなわち顔面が球体に近く、陰影がないのである。
おそらく画家からしてみれば最も描きにくいタイプの顔であろう。
イメージとしては奇天烈な発明をする少年が主人公の漫画に出てくるからくり人形を想像してほしい。
あの物体に皺があったら人は衝撃を受けるだろう。
いや、誰が歩くプリン体だ。

皺は渋みと言われたりもするが、それは真っ赤な嘘である。
そういう人はもともと渋いのである。
こんな顔面球体人間が渋くなるはずもなかろう。
したがって渋さを求めることよりも、年齢不詳という方面で売り出すしかないわけである。
そんなこんなで表情を強めに出すということを心がけるようになったわけだ。
これは「顔を動かせば、筋肉が鍛えられ、その筋肉が顔に張りを生み出し、その結果皺がなくなるではないか」という仮説に基づいている。
狙い自体は悪くないと思うのだが、家族や同僚からはすこぶる不評である。
どうやら「歌舞伎役者を目指しているのか?」と不安に思われている節があるようだ。

そして起床時と風呂上がりの際のスキンケアをより入念に行うようになった。
髭も毎日きちんと剃ることを習慣にした。
糖分摂取を減らし、クエン酸を摂ることを心がけるようになった。
するとどうでしょう、「何か若くなりましたね」と声をかけてもらえるようになったのである。
また別の人からは「前は肌が毒々しい色をしているときがあったけれど、最近はツルツルしているね」と言ってもらえるようになった。
人間、人から認められると頑張ったかいがあるというものだ。
ん、毒々しい?
ますます僕はスキンケアにハマるようになったわけだが、そんなおりに僕の目に異常が生じる。
左目でみたときに夜中に携帯の画面が全く見えないことに気付いたのだ。

見えないと言うよりも真っ白に見えるというほうが正しい。
右目でカバーしようとしてみるが負担が増えたためかそちらの目が痛くなり始まる。
これではいけないと思い、僕は眼科へと向かうのであった。
ちなみに前回、パカと蓋が開くスキンケア化粧品を愛用していると言ったが、今日仕事から帰り見てみると、その化粧品が床に落ちて中身がどっさりと出てしまっていた。
中原中也さんの作品が読みたいと思った。