大人の嗜み
毎度毎度のことであるが、僕にはビュッフェにおいて料理を美しく盛り付ける才能が著しく欠如している。
元来意地汚く、何度も料理を取りに行くのが面倒な僕のような人間はビュッフェ・プレートに高々と料理を盛り付けて、ほかのお客さんから「バベル」とあだ名をつけられているだろう。
「バベル」ならまだしも「バブルス」と言われている気配すらある。
キング・オブ・ポップが飼っておられたお猿さんの名前ではないか。
このビュッフェで高々と料理を積み上げる盛り方は「全力滅茶苦茶盛り」と命名されていることは先刻承知であろう。
そしてこの「全力滅茶苦茶盛り」を回避するために「スプリング・ハズ・カム」「SHUNRAI」「おもひで」という盛り付け方法を発案させていただいた。
今回は大人な装いの中にキラリと子供心が光る「雪のソナタ」という盛り付け方法を発案させていただきたい。
これまで同様に使用するプレートは以下のようなビュッフェ・９つ仕切り・プレートとする。
そして盛り付けの説明のため、仕切りに①から⑨の番号を付ける。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
今回の盛り付け方法である「雪のソナタ」であるが、一面広がる雪景色をイメージしている。
恋人たちが純白の世界を眺めている。
そんな汚れない世界観をプレート一面を用いて表現していきたい。
ただ今回はギミックも含めて「雪のソナタ」という盛り付けを考えていきたい。
言うまでもなく基調となる色は白である。
①②③には中華まんを盛り付け、雪山を表現したい。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
好みによってはあんまんもいいが、多くの場合あんまんには中華まんにあるようなくぼみがなく、山の隆起を表現しきれないので、強いこだわりがない場合は中華まんを選ぶようにしたい。
⑦⑧⑨にはカリフラワーやベビーコーンなどの白い野菜を盛り付けたい。
カリフラワーが好きではない方やそんなに多く食べられない方は白い野菜を盛り付けることをおすすめする。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
次に④⑤⑥であるが、何を盛り付けても構わない。
ここぞとばかりに好きなものを盛り付けよう。
１つ言うならば、盛り付けの高さがまばらになるとよい。
④⑤⑥に自由に盛り付けた料理の上にはスライスチーズを敷きたい。
ここで先程高さをまばらにしたことが活きてくる。
すなわちスライスチーズがきれいなゲレンデのシュプールを描くのである。
① ② ③
④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨
そしてプレートの隣にコップをおいて、そのコップを利用して中に綿菓子を立てかけたい。
これは恋人同士の吐息を表現するものである。
そして純白のプレートの上、⑨あたりにローストビーフなどで♡を模したい。
言うまでもなく、これはゲレンデを溶かすような恋心を表すものだ。
これにて「雪のソナタ」は完成となる。
今までの盛り付けとは違い、プレート外にも仕掛けを用意することが特殊な盛り付け例と言える。
美しく盛り付けたら美しく食べきろう。
ストップ、フードロス！
