はじめに
今回の記事は関心がない読者様にはまったく価値のないものだ。
そういう方はぜひご自身の時間を大事にする上でもこの記事は読まないでほしい。
ただ「学校の先生ってこんなことまでしてるんだ〜」という気持ちにはなると思う。
本題に入る。
「合唱の指導をしなくてはならない」という状況はふつうの人ならば当然ないことである。
裏を返せば、その事態に直面したとき、何をどうすればいいのかわからなくて当然だ。
合唱大会で常勝を誇る先生と先月お話する機会があった。
今回はその先生が教えてくれたことをまとめた記事となっている。
ちなみにその先生は「それまでのクラス運営で失敗していて、団結力のないクラスを作っていたら、どれだけ合唱指導に長けていても勝つことはできない」と言っており、ふだんのクラス運営で団結力を培うことが一番大切だと述べていることも併せて記載しておく。
余談であるが、「先日」という表現はその日の1日前の「昨日」を指すとは限らないのに、「先月」という表現は必ずその月の1つ前を指すのはなぜだろうと思ったが、当然本題には関係がないことなので、この箇所は編集でカットしておくこととする。
1.パート・リーダーを決める
最初にすることは各パートのリーダー、サブ・リーダーを決めることである。
これは関連記事でも書いていることだ。
混声合唱で痛いのは違うパートに引っ張られて、和声が綺麗に聞こえないことだそうだ。
絶対に音を外さないパート・リーダー、ないしはサブ・リーダーを作ることで、ほかの生徒はその人に音を合わせるよう指導することができる。
リーダーに選ばれることでその生徒にとっても自信になり、責任感が生まれるとのことだ。
また合唱には音程だけでなく、声量とタイミングも同様に重要で、その中心人物はそれらの部分においても模範となるように育成していくのが良いらしい。
もう1つのポイントはそれらの音・声量・タイミングを間違わない生徒をグループの端に配置することだ。
例えばアルトの中心人物たちをソプラノのグループに隣接するように配置するというのだ。
こうすることでほかのアルトのメンバーはソプラノの影響を受けなくなるわけだ。
2.声が出るようになったら、強弱記号を意識させる
パート・リーダーが決まって、練習をすると自然と音は出てくるので、次は強弱記号を守らせるということである。
レベルが低い合唱コンクールでは声が大きければ勝利みたいなこともあるかもしれないが、ある程度のレベルの大会になるとそうはいかない。
ちなみにコンクールがホールで行われる場合は声が反響するので、声量を追い求めるよりも和声が綺麗に聞こえることを追い求めたほうがいいらしい。
ちなみに強弱記号といっても複雑なものではない。
ピアノ(p)、メゾピアノ(mp)、メゾフォルテ(mf)、フォルテ(f)、フォルテシモ(ff)くらいがわかれば充分である。
仮に楽曲でフォルテシモがあるとするならば、その部分が最も強い音が出ていないといけない。
ピアノの部分をフォルテで歌ってしまえば評価が下がるのは当然だ。
なお指揮者が信頼できる人物の場合は指揮の際に指でその強弱の程度を伝えさせても良いらしい。
例えばピアノなら指を1本、フォルテシモならば指を5本立てるといった具合だ。
3.スピードを変えてみる
パート・リーダーが機能し、強弱記号が守れるようになってもあまり上手くないと感じる場合はスピードに問題がある可能性がある。
もちろん曲のスピードを劇的にかえてしまうのは編曲であり、評価が下がってしまう可能性があるのでおすすめはしない。
ここでのスピードの変更は少し早くしたり、少し遅くするということを意味している。
一概には言えないが、そもそもテンポが遅い曲は若干速いテンポで合唱させるとよい場合がある。
こうすることで発声のタイミングが合いやすくなることがあり、音を伸ばす箇所もミスが少なくなる。
逆もまた然りで、テンポが速い曲は若干テンポを遅くしたほうがいい場合もあるらしい。
4.ブレスの位置を意識させる
合唱中に困ることは歌い手が自分の都合で息継ぎをしてしまうことだ。
特に音を伸ばす部分でバラバラに息継ぎをされると、音が途切れ途切れに聞こえてしまう。
これではせっかく和声が綺麗に響いても減点の対象となってしまう。
しかし合唱曲の楽譜にはブレスが記載されていない場合もあるので、自信がない先生は音楽の先生にブレスの位置を教えてもらうといいらしい。
それが難しい場合は、割と歌詞が意味をなすところで区切るのがよいとのことである。
5.メトロノームなどを用いて効果的に練習する
合唱の練習においてメトロノームは重要である。
リズムを強調した練習になるので、出だしの音などが揃いやすくなる。
その際にはパートが向き合って練習することも大切だ。
そうすることで違うパートがどこでどんな音を出すかを知れるし、互いに引っ張られない訓練にもなるからだ。
またメトロノーム以外にも音量を測定するアプリケーションが存在する。
自分たちの声量がどのくらいのデシベルになるかわかると、生徒たちは盛り上がり、励みになったりする。
メトロノームのアプリケーションも音量測定のアプリケーションも無料で手に入れられるもので充分である。
また生徒たちの歌唱を録音して聞かせることで、自分たちの改善点を意識させることも大切である。
これらのことはタブレットがあれば全て簡単にできることなので、練習に行き詰まった場合はぜひとも取り入れてみてほしい。
6.最終確認をする
ここまで出来ていればかなり合唱が上達したと思われる。
あとは最終確認が必要だ。
指揮者に関しては「伴奏者を含めた全角度から指揮が見えるか」、「その指揮は充分に大きいか」などを確認する必要がある。
歌い手に関しては並びを最終確認したい。
このころにはパートの境界にエースをしかなくても大丈夫な状態だとは思う。
なおここでは各パート3列で並ぶ状態を仮定したい。
学校のルールで身長順に並ばせないといけない場合は難しいが、可能であれば声が通る生徒を前列に並べたい。
最後まで音取りが不安なパートがあれば、最後列に音程がしっかりしている生徒を並べ、それよりも前の列の生徒はその声を聞いて調整させたい。
まとめ
このように学校の先生はいろいろなことを考えて指導しているようだ。
保護者の皆様は合唱大会などが行われる場合はぜひとも先生たちの労をねぎらっていただきたいものである。
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