わる猫の今夜も眠れない2
こんにちは、まる猫です。
本当に残暑が続きますね。
皆様、くれぐれも熱中症にはお気をつけください。
僕はつい先程出張から帰ってまいりました。
出張先は自然豊かで、アスファルトでの照り返しが少ない場所でした。
夜などは8月頭なのに少し肌寒いほどでした。
その出張先から自分の住んでいる地方都市に戻ると、あまりの暑さに思わず笑ってしまったほどでした。
それでもやはり自分の住んでいる街は落ち着くものです。
美しい街ではないのですが、それでも愛おしい場所です。
は!
いけない、またあいつが出てこようとしている!
みんな、僕の食欲が高まる前に逃げて!
このままだと、あのつまらない記事だけを書くことで知られるわる猫が出てきてしまう。
勇者だけが使える聖なる剣の力をもって、やっと僕の中に封じ込めたわる猫がその封印を解こうとしている。
もう駄目だ。
みんな...ごめ...ん。
あいつが...きちゃうよ...。
あい...つ...はモン...スター...。
早く...ここから...逃...げ...て...。
フハハハハハハ!
吾輩がわる猫様だ。
吾輩はさきほど最寄り駅から家に向かって歩いていると、90歳近いであろう女性(にょしょう)が歩いておった。
その女性は吾輩を見て「ああっ!」っと叫んだのだ。
きっと怯えていたのだろう!
フハハハハハハ!
吾輩は恐怖の大魔王だからな。
するとその女性は吾輩に向かってこういったのだ。
「哲夫?」
無論吾輩は哲夫ではない。
そのような唾棄すべき発言をしたことを後悔させてやるつもりで、吾輩はこう言ってやったわ。
「あ...あの...哲夫じゃありません。」
女性は跼天蹐地の体で吾輩に意見した。
「嘘よ、あんたは哲夫。」
さぞ混乱したのであろう。
その女性は吾輩に近づき、顔の覗き込んで言った。
「何だ、明子か。」
いや、それ女性だろ。
悪口もここまで来ると愛を感じるわ。
そして吾輩は棲家とするウィトゲンシュタイナー城に着いた。
吾輩は出張のときは鍵を持っていかないことにしておるから、チャイムを鳴らす。
反応がない。
再びチャイムを鳴らす。
反応がない。
おかしい。
我が后は接骨院に行って、スタッフを蹂躙しているはずだが、この時間は義母上と我が子らがヴィトゲンシュタイナー城を敵の手から守っておるはずだ。
散歩にでも出かけたか?
この炎天下で?
吾輩は心配になり何度となくチャイムを押す。
そして室内のモニターに映るようにカメラの前に佇んだ。
夏の強い日差しに汗がポタリポタリと落ちる。
そして幾度となくチャイムを押すと、2階で小さな声がする。
「ばぁば、変質者だ、絶対ドアを開けちゃいけない。」
この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。
※ 猫。