いうのも合点が行くというわけだ。しかしながら僕は「草いきれ」のことを「臭いキレ」と聞き間違いをしたことがある。念のために言うと、「キレ」というのは布のキレのことである。要するに臭い布のことなわけだが、そのワードが発せられたのが「夏場のくさいきれは耐え難いものがある」のような文脈であったため、内容的にも全く違和感がなく理解できてしまったのである。これは実話であるが、暑い夏の夕方に町の料理店に入ったことがある。そこでは熱々のおしぼりを出してもらえて、僕はとても感謝したことがある。暑い日に熱い食べ物を食べると美味しいと思うように、暑い日の熱いおしぼりには何物にも代えがたい価値があるのだ。その熱いおしぼりで汗を拭き取るときの快感といったらない。発汗したじっとりとした肌がさらさらになるあの瞬間がたまらないわけだ。ところが僕が出していただいたおしぼりで額をふこうと思ったその刹那、そのおしぼりから動物性の匂いが立ち込めたことがあった。「うぐぅッ」と思わずのけぞる僕。どうしてなのだろう?意図的でない限り、おしぼりがそんな匂いになるわけはないので僕は苦悶の表情のしながら原因を探ろうと思った。「もしかして僕が嫌われていて、個人的に狙われているのか」とも思ったが、そのお店はその日初めて入ったお店であったので、その理由は考えにくい。「もしかして僕の注文の仕方が気に障ったのだろうか」とも思ったが、僕は店員さんと話すときは絶対に敬語を使うようにしているので、それも考えにくい。「もしかして注文の内容が気に入らなかったのか」とも思ったが、僕が頼んだのはその店で一番人気の肉料理であったため、店の人が気に食わない理由にはならない。いったい何が問題だったのかは今もなお藪の中である。しかしそんな聞き間違いにも「それは間違いだけれども、まぁそれも素敵であるし正解でもいいかな」と思えるものも存在する。それはいったい何であるのかを今回は紹介させていただきたい。
子はタフガイ。
※ おしぼり。
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