徒然すぎて草2
僕の歯に魚が挟まって1日が経とうとしている。
流石に1日もすれば取れると思ったが、考えが甘かった。
しかも心なしか隙間のお魚さんが大きくなっている気がする。
2日も続けて1日のハイライトが歯に挟まった魚に関することだなんて、「僕の人生はいったい何なのだろうか」と哲学的な思考をせざるを得ない状況である。
だいたい大きくなるとはどういうことだ?
ふつうは口内にある食べ物は温度や津液により溶けて小さくなるはずだ。
なのにこいつは刻一刻と僕の歯の隙間で成長を続けているではないか。
すっごい存在感があるんですけど、この魚。
このまま大きくなって僕と同じくらいの大きさになったら僕は半魚人と見なされるのだろうか?
怖い。
自分の歯に挟まっているこの何かが怖い。
心の隙間を埋めてくれる人がおられたが、歯の隙間を埋めてくれる魚がいるとは、人生何があるかわからないものだ。
そもそも魚なのか、これは?
昨日の料理は魚ときのこのサラダ。
そうか、きのこの可能性がある。
そのサラダにはレタスなどの野菜も含まれていたが、流石にきのこ以外の野菜がこんな耐久性を備えていたら引くだろう。
いや、きのこでも引くわ。
何をつっこんでいるんだ、僕は。
そして僕は歯に魚かきのこが挟まったまま出勤したわけだ。
口腔衛生上、できたら魚よりきのこであってほしいと願うのだが、やっぱり魚なんだろうなと哀しい気持ちになりながら仕事を始める。
もしも誰かと話しているときに歯から魚が飛び出してしまったらと思うと、口を開けるのが怖くなる。
僕はそこはかとなくはにかみながら仕事を続けた。
そして不気味な笑みを称えながら業務をこなす。
同僚と話すときも池の中の鯉のように口の先をパクパクして話す。
そんなこんなで数時間が経つと僕はあることに気付いた。
魚もしくはきのこを感じないのだ。
「ヤツは去った」と僕は歓喜した。
諦めず戦い続ければ人類はあの魚かきのこか知らん何かに負けることはないのだ。
僕は小さくガッツポーズをし、正午を少し過ぎていたことに気付く。
それから財布を持って会社の食堂に行き、お弁当を購入した。
お弁当には炭水化物が入っている。
僕は今もほんのりと炭水化物制限をしているので、本来はそのお弁当は御法度なのだが、お世話になっているお弁当屋さんに「ご飯を抜いてください」などというわがままを言うのは違うと思い、ありがたくいただいていた。
その日は小さな焼き鮭のほかに生姜焼き、春巻、キノコのサラダが入ったお弁当だった。
好きなメニューだったので、僕はぺろりと平らげた。
読者様はもうお気付きですね?
食後に僕は歯を磨き、デスクに座ると違和感を感じるのだった。
そう、僕の歯の隙間に再び何かが挟まっているのだった。
専門的にはこのことを無想転生と言うとか言わないとか。
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