僕は狙われている
先週のことであるが、奥様の母親、僕からすれば義母の誕生日があった。
奥様と義母様は強い自我をお持ちなので、よく衝突し険悪なムードを漂わせることがあるが、総じて仲がよい。
好きであるがゆえに互いが許せなくなるパターンだ。
奥様は今年は義母様に感謝の意を込めてプレゼントを送ったらしい。
プレゼントの中身はクッキーがメインだった。
そして奥様はこう付け加えた。
「今年はブリザード・フラワーも送ったわ〜。」
その言葉を聞き、僕がまさにブリザード・フラワーのように動かなくなった。
脳がNOW LOADINGと言っているのが解る。
一瞬そういう言葉あるかとも思ったが、脳内検索にヒットしない。
奥様は「やっぱりブリザード・フラワーだと枯れなくていいし、手入れとかいらないから楽だわ」と続ける。
僕は海馬付近に血流を巡らせ必死で未知の単語を同定しようとした。
奥様はさらに「最近はブリザード・フラワーでも本物みたいに綺麗なものもあるし、喜んで貰えたわ」とおっしゃった。
僕は恐る恐るGoogle検索結果のような口調で尋ねた。
「あのぅ、ブリザード・フラワーではなくてプリザーブド・フラワーではありませんか?」
しばしの沈黙のあと、奥様は衝撃のセリフをはかれた。
「お前、これブログに書くだろう?」
人間は嘘をつくときは斜め上を見ると言う。
僕ははっきりと斜め上を見ながらこう言った。
「書くわけないじゃないですか〜。」
奥様は猛禽類のような目をしてこう言われた。
「本当に書いてないかお前のブログを確認するからな。」
こいつぁマズい。
何だったら記事の冒頭で「奥様と義母様は強い自我をお持ちなので、よく衝突し険悪なムードを漂わせることがある」と書いたこともマズい。
今までのブログの内容は奥様の許可を取らずに書いている。
奥様はきっぷの良いかたなので、復讐として熱々のご飯にフリスクを入れるような陰湿なことはしないが、シャドーボクシングで鍛えた黄金の右ストレートをお持ちだ。
また怒りのエネルギーを持続可能なものに変えることができるのか、1イベントで数時間は激昂することができる。
奥様は携帯を駆使し、今僕のブログを探しているところだ。
完全に狙われている。
幸いにして僕は自分のブログ名を「ジャンボたにしの今夜も眠れない」と伝えてあるので、今のところはまだ大丈夫だ。
この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。
※ めだか可愛い。