残されたメモ
うん、もう認めよう。
ああ、何と清々しい気持ちになれるのだろうか。
そう、面白い記事を書く才能など自分にはないことを認めればいいのだ。
僕のような凡人が何者かになろうとするなど烏滸がましい。
だから1時間かけても1行も書けなくても自然なことなのだ。
心が軽くなった。
ラララ〜、そう僕には才能がないのだ〜♬
ノー・タレント♬
ノー・ユーモア♬
やめよう。
心は軽くなったが、自尊心をはじめ失ったものが多すぎる。
こんなときは携帯電話に書かれたメモを見るに限る。
そこから何か創作のヒントが得られるに違いない。
しかし僕の淡い期待は脆くも崩れ去るのだった。
謎のメモ その1
姉さん、事件です。
このブログがハッキングされました。
何処で使うんや、このフレーズを!
ほんで僕に姉さんなどいない。
ブログが乗っ取られたとしてもそれを人に言う必要はないわけで...。
僕はいったいいつこのフレーズを携帯に残したのか思い出せないのが無念だ。
謎のメモ その2
育毛専門薬 ワープ
ワープしたらなくなるやないか!
昔の僕に聞きたいのだが、このメモからどんな記事を書きたかったのか?
新しい事業を紹介しようとしているのか。
だとしたら絶望的に具体性がない。
謎のメモ その3
性病
リマインダーにこの言葉だけが残っていた。
過去の僕は未来の僕に何を伝えたかったのだろう?
全く思い出せない。
過去の僕と今の僕は違う人間ないしは違う人格の持ち主であるという可能性も捨てきれないが、そちらのほうが怖いので、この可能性は忘却曲線を有効利用せず忘却したいと思っている。
いや、本当にこのメモ書いた人が憎い。
謎のメモ その4
夢、それは遠い日の忘れ物
お前そんなキャラじゃなかっただろう?
しかも何が言いたいのかさっぱりわからない。
このフレーズをどうして「いつか使うかもしれない」と思ったのか理解に苦しむ。
取り敢えずこのメモを書いたまる猫なる人物に虫唾だけが走っている。
謎のメモ その5
肉かと思ったら花
困った時はワープ!
育毛専門薬ワープをよろしく。
寝ぼけながらこのメモを残したとき、僕はその面白さに大笑いしていた記憶がある。
なぁ、僕よ、いったい何処が面白いんだ、これ?
これらのメモはいったい何の目的で残されたのだろうか。
解らないまま携帯のメモリを圧迫し続けるのだった。
この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。
※ メモとEPO。