まる猫の今夜も眠れない

眠れない夜のお供に

表現百景3

表現百景3

自称鬼才の演出家まる猫がついに新作「世界の終わりとスワンプローズ」に着手。

自称鬼才のほとばしる情熱をとくと見よ。

このニュースに日本が震撼しなかったことは言うまでもない。

しかし今回は一人芝居ということでブログ関係者はほっと胸を撫で下ろした。

まる猫の一人芝居であるならば自分たちに影響はないからである。

果たして鬼才まる猫はどのような舞台を演出しようとしたのか。

素人舞台演出専門雑誌である表現百景は彼の一挙手一投足を追った。

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「世界の終わりとスワンプローズ」のあらすじ

今回の芝居のテーマはズバリ純愛であった。

芝居の経験がないだけでなく、ラブコメを見るだけで餌付いてしまう男であるまる猫が純愛をテーマにしたことに誰もが驚きを隠せなかった。

舞台は南北戦争真っ只中の19世紀アメリカ。

アメリカ北部で育ったエドはある日大学で公演をすることになり、南部の町にやってきた。

彼は偶然そこで美しい花屋の女性サラと出会う。

エドはサラに仕事が上手くいったら花を買いに来ると約束をするが、公演は失敗に終わり、失意のエドはサラとの約束を忘れ町を彷徨う。

雨が降り出し、ずぶ濡れのエドは街角で1人彼を待つサラと再び出会う。

2人はそれから強く惹かれ合い、恋に落ちる。

しかし戦争が勃発すると、2人は引き裂かれる運命となる。

エドは北部に帰ることになり、サラは南部の町に残ることになった。

それでも2人の互いを思いやる気持ちは褪せることなく、愛を育てていった。

自分の相手はあの人しかいない。

そう思いながら2人は生きていった。

数年のときが経ち、戦争が終わると、エドは南部の町を再び訪れた。

そしてあの街角でサラを見つけ、2人は強く強く抱き合うのであった。

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突然の終幕

あらすじを見て誰もが思った。

「これを一人芝居でやるのか?」

「無謀すぎる。

しかし自称鬼才のまる猫にはこの舞台を1人でやり遂げる秘策があった。

まる猫は徐ろにシャツの袖をまくり上げると、腕を幾度となく折り曲げた。

前腕部と上腕部がぶつかり、関節が軋む音が小さく響いた。

「まさか!」

「嘘であってくれ。」

関係者の願いも虚しく彼は高らかと発表した。

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「前腕部と上腕部で男女の出会いと別れを表現する。」

まる猫のこの無謀な提案に関係者は涙を隠すことができなかった。

誰も「そんなことで表現ができるか」とは言わず、彼をここまで追い詰めた現代社会に対して苛立ちを感じていた。

そしてまる猫が夜ぐっすり眠れるように近しいスタッフが温かいミルクを毎日用意することに決めたのであった。

 

この記事は当然のことながらフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。

 

※ 舞台。