まる猫の今夜も眠れない

眠れない夜のお供に

後発白内障と僕2

後発白内障と僕2

僕は後発白内障の治療のために家から少し離れた大病院を訪れた。

その病院はお医者さんが親切、丁寧であるだけでなくスタッフや事務の方もメディカル・マインドを持っている素晴らしい病院である。

なかなかこう隅々まで教育が行き届いている病院はない。

患者の不安に寄り添ってくれ、本当に評判が良い病院なのだ。

ただ1つ難点を挙げるならば、評判が良すぎて人気がありすぎることだろうか。

数ヶ月先まで予約が取れないのだ。

予約しようにも「数ヶ月が取れないので、予約無しで待っていただくほうがいいと思います」とオペレーターさんに言われたくらいである。

これはレストランの話ではない。

いや、レストランだって今はそんな店は少ないと思う。

実はだいぶ前に予約無しでこの病院を訪れたことがある。

仕事場からは自転車で10分のところにあるので、2時間あれば帰ってこれるかと思って仕事を中抜けしたのだが、実際帰れたのは4時間後であった。

上司は理由を尋ねたが、僕はうずくまり無言を貫いた

結局上司が折れて、「二度とすんなよ」と言われただけですんだが、僕はこのとき石の上にも3年ということわざの真理を悟った。

話を本題に戻す。

もう老若男女この病院を頼っているのだ。

体のどこにも異常のない人も行っているのではないかと思うほど常に混んでいるのだ。

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待ち時間が黄河の流れのように悠久であることを知っていたので文庫本、仕事道具、ワイヤレス・イヤホンなど時間を潰す道具をフル装備して病院に赴いた。

そして受付を済まし、紹介状を渡す。

それから長椅子に座ると、文庫本を取り出して読み始めた。

大病院で待合室も広い。

しかし人気がありすぎるためか患者が鮨詰めに近い状態になっているのも事実だ。

たぶん診察が終わる頃には何人かは鮒ずしのようになっていることだろう。

しかも待合室1と待合室2があり、1での処置が終わると2で次の処置を受けるというシステムになっている。

当然待合室2もごった返している。

偶然だと思われるが、僕は待合室1で不思議な体験をする。

例えば僕の名前を仮に手近藤マチャ彦だとしよう。

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僕が文庫本を読み始めると「手近藤マチャ彦さ〜ん」と名前を呼ばれた。

僕は「早いな、まだ20分くらいしか経っていないではないか」と感動したのだが、「は〜い」と言って立ち上がったのは僕ではないブルース・ウィリス的な髪型の男性であった。

そしてブルース・ウィリスさんもどきの方はスタッフさんに検査室に招かれていったのであった。

同姓同名なのか。

まぁ100人くらいは待っているからな。

そういうこともあるのだろう。

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そしてそれから20分ほど待つと、僕は検査室に通された。

そこでは瞳の状況を調べたあとで、視能訓練士の方がテキパキと視力の検査をしてくれた。

僕は椅子に座ると、ランドルト環と呼ばれるCみたいなマークを見るように言われ、環の上下左右どこが開いているかを問われるおなじみの検査が始まった。

正直僕の左目は白くぼやけて見えていたので、視能訓練士の方に「はっきりと見えない場合はそう言ったほうがいいですか?」と聞くと、「見えるがままに答えてもらっていいですよ」と言われる。

そして僕の快進撃が始まった。

何となく見えた方を言っただけだが、まさかの視力検査全弾必中が起こる。

正直「・」としか見えていないのだが、たまたま言った向きが全て当たるのだ。

その結果、僕の左目の視力は1.5と判定される。

僕と視能訓練士の方の間に微妙な空気が流れる。

「こいつ、後発白内障と言っておきながら全部見えてるじゃないか。」

そんな心の声が聞こえてくるようだった。

そしてそのあと、待合室2に移動するのだが、それはまた別のお話。

 

※ 瞳はとても大切です。

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