後発白内障と僕ファイナル

それから僕は待合室2に戻り、看護師さんに目薬をしていただいたあとで別室で治療の説明を受ける。
もちろん気になるのは費用だ。
その日は大金を持っていた。
なんと8500円だ。
本当はジェラルミン・ケースに入れておきたいほどの大金である。
僕は大船に乗ったつもりで、いや寧ろ宇宙戦艦ヤ◯トに乗ったつもりくらいでいた。
別室におられた事務の方は丁寧に説明をしてくださり、最後にYAGレーザー治療は3割負担で片目6000円ということを教えてくださった。
僕は波動砲を食らったかのような衝撃を受けたが、背に腹は代えられない。
「お願いします」と伝える。
後で聞けば6000円はかなり良心的な値段らしい。

そして僕は待合室2に戻り、再び看護師さんに目薬をしていただいた。
暑くなってきたのでダウンを脱ぎ、ジャケット姿になると、緊張がとけたのだろうか、僕はぐっすりと眠ってしまった。
どういうことか未だ不明であるが、眠る前は周りにあれだけいた人が独りもいない。
ドーナツ化現象が僕に?
僕は不思議に思い、胸元を見るとシャツがぐっしょりと濡れていた。
結局それは何だか解らなかったが、ヨダレではないだろう。
きっと近くの海から海水が空中を漂って僕のシャツに付着したのであろう。

眠ったおかげか時間がかなり経っていた。
僕はほとんど待ったという感覚がないまま診察室に再び呼ばれる。
僕はさきほどとは異なり、診察室のカーテンで区切られた場所に座るよう言われる。
そこには高級そうな機械があり、僕はその機械に頭を固定してもらった。
波動砲、もといレーザー治療のはじまりだ。
僕は力んだが、先生が名医だったのであろう。
治療はものの数分であり、痛みは全く無かった。
「明日には視界が正常になっていると思います」と先生は微笑って言ってくれた。
先生の笑顔で僕は救われた気持ちになり、感謝の言葉を伝え、待合室1に戻った。
あとは会計を済ませるだけだ。
そして病院に入ってから4時間後、長かった戦いもフィナーレを迎えた。
素晴らしい病院であり、僕は本当に感謝をしている。
次の日、先生の言われる通り、僕の視界の白いもやは全くなくなっていた。
何と凄いことだろう。
それまであったストレッサーがなくなり、日常を快適に過ごせるようになった。
後発白内障になられた方は素晴らしい病院にいち早く行くことをおすすめする。
しかし僕はある悲しい事実を知ることになる。
近くの文字が見えない。
何という皮肉だろうか。
後発白内障が治ったおかげで自分が老眼であることに気付くことになるとは。
そして僕は眼鏡を外して近くのものを見るようになった。
※ 瞳はとても大切です。